【オンライン】372話:勝ちを掴む為の一歩目④
フレンドリストを見てみると、姉さんがログインしている事が分かる。
〈ティフォから聞いたよ〉
『あらまぁ、もうバレちゃったの? もうちょっと根性のある子達だと思ってたんだけどね。やっぱりスノーちゃん達には甘かったかしら?』
物凄くワザとらしい溜息が聞こえてきた。
一緒の通話グループに入っていたティフォ達が速攻で反応した。
「そんなこと言ってさ、別にバレても問題ない状態で俺達を巻き込んだんだろう」
「そうでござるな、こんあ用意周到なポスターを作っていたのなら、拙者達が手伝うまでもなくティフォナ妃は巻き込まれる予定だったんだな」
『何を他人事みたいに言ってるの?ちゃ~んとガウも一緒に活躍してもらうに決まっているじゃないの。ドラムは得意でしょう』
姉さんにそう言われてから、皆でポスターを再度確認してみると、確かに舞台の後ろの方でドラムの場所にはガウが座っている。
全く気付いていなかったガウが地面に膝をついて、突っ伏しながら泣いている。
〈はぁ……まぁ良いけどね。思いっきり盛り上げてくれるかな〉
『あら、乗り気なの? それだったらコソコソと暗躍する必要が無かったわね』
かなりテンションが落ちたようで、少し怖い。いったい僕達でどれだけの手管を用意していたのか、考えたくも無いなね。
〈いや、別に乗り気じゃあなかったんだけどさ。どうせ逃げても舞台には立たされる様に誘導されそうだし、ティフォ達が手伝ったって事は逃げられない様な小細工が何重にも組まれてるんじゃないの? 情にでも訴えかけるような手口でさ〉
ちょっとカマをかけてみた。
『そこまで読まれちゃうと、私としても考えた事が無駄になったようで嫌になるわね。流石は私の妹って所かしらね』
背筋が物凄く冷たくなっていくの感じる。
ティフォもすぐ隣で震えているので、きっと僕と同じく冷たい感覚に襲われているのだろう。自分じゃあなくてよかったとか思って良そうだけど、ズィミウルギアの世界に至っては無事じゃあないだろう。
きっと姉さんはティフォも僕達同様に可愛がりたい得物として見ているだろう。
〈どういう事に手を回していたかは知らないけどさ。きっと無駄にはならないんじゃあないかな。むしろ僕達に手を貸してほしいかなって思ってるんだけど〉
『ふ~ん、何か理由があるのね……良いわよ、私の策を利用する気なのね』
僕の言葉で何を想像したかは理解出来ないけど、物凄く楽しそうな感じは伝わって来た。
あまり暴走されてしまうと、僕等のやろうとしている事が失敗してしまう可能性もあるので、仕方なく姉さんにはグランスコート現状と新大陸の国家について大まかに説舞した。
姉さんがやろうとしているアイドル活動は良い目くらましになるし、囮としても十二分に効果を発揮するだろう。成功すればそれも僕等にとっては有利に働く。
人を集める場所を変える必要はあるけど、ラコスの中心で歌って踊り、ラコスの人達には自分達にとって利益があり、守ってくれると思わせる事が出来れば、僕等の大勝利に終わる。
僕等の事を妨害するには、神経をすり減らす様にしてライブを中断させないとダメだろうね。嫌がらせにしても、かなり効果的だろう。
これにラコスの人々を魅了する事が出来れば、お釣りがくる。
「本当にやるのか?」
〈効果的だし、僕等が頑張れば多くの人を救えるよ?〉
「その代わり、ボク達の精神は粉々になりそうだけど?」
そこはもう気にしても仕方ないだろう。
姉さんに狙わて何の手も打てなかった時点で負け戦なのだから。
どうせなら利用するくらいしないとね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます