【オンライン】374話:魅了とは敵も味方も虜にしてこそ
「舞台は何処になるんだろうな」
あの渓谷にある街だと、広い場所っていうのは用意し難いだろう。
「その辺は問題ないわよ」
なんか堂々と姉さんがホームに入って来た。
「お姉様も登場ですか……問題ないって場所はもう決まってるの?」
シュネーは歓迎ムードで姉さんの周りを飛び回りながら、肩に座る。
「舞台は空中に作るのよ。方々を繋いで渓谷のド真ん中に舞台を作っちゃえば、好き勝手に動ける場所が出来るでしょう」
「俺達の負担が大きくないか?」
〈本当に大掛かりなモノを考えて来たんだね〉
確かに敵さんを引き付けるために派手なモノにして欲しいとは頼んだけど、ちょっと僕の想像していた事よりも斜め上に飛んでいったな。
「危なくないの?」
狙われ放題だし、端々を繋いでいる場所を狙われたら終わりだろう。
「そこは安心してちょうだい、別に落ちても良い様にすれば良いのよ」
この場に居る全員が姉さんの言っている事が分からず。
ポカンとした表情で数秒間くらいは声が出なかった。
「いやいや、落っこちたらダメだろう」
「ミスユ達に手伝ってもらうのよ。サーカスで使ってた手法だからね。空中散歩のマジックショーってやつよ。少し体の使い方を覚えないとダメだけどね」
舞台を固定しているのは言わば囮で、実際には僕ら自身が吊るされている様にするらしい。僕はそこまで運動神経良くないので、椅子に座りながら楽器を弾くだけで良い。
空中に固定できる魔法のアンカーを使って、しっかりと支えられる。
「周りのパフォーマンスに負けない様に今から特訓よ」
「待ってくれ、何で俺達を連れて行くんだよ⁉」
「拙者もでござるか⁉」
姉さんが首根っこを掴まえて引き摺っていく。
僕は大人しく付いて行くだけだ。
「シャープちゃん、衣装のイメージはこっちが勝手に決めても良いのよね?」
「えぇ、ケリアちゃんのセンスは最高だからね。最高のモノを作ってくれたら報酬は弾むわよ、なんならモデルだってしてあげても良い位にね」
姉さんが冗談半分に言っている言葉に、ケリアさんの目付きが一瞬にして変わった。
「それって、後輩ちゃん達の頼んで着てもらう事もかのうかしら」
「それは私達にとって報酬を渡した事になるのかしら?」
「こっちとしては大助かりよ。貴方達のモデル料ってすっごく高いんだからね」
こういう時のケリアさんは、やっぱり自分のブランド品を作る事にはチャンスを逃がさない人だ。ゲーム内でもケリアさんの衣服は徐々にではあるが人気が出てきている。
モーションによってエフェクトアクションなんて、面白機能がついている事も話題に上がっているようで、お店の方も軌道に乗ってきたらしい。
「そう、なら声を掛けておくから、誰が良いのかは後で連絡を頂戴ね」
「えぇ送っておくわね。なにか入れてほしいエフェクトはあるかしら?」
姉さんが僕の方をチラッと見てきた。
「動物、花火、それに雪……いえ、季節的な要素かしらね」
「オーケー、最高の案じゃない。全力て取り組ませてもらうわよ」
「素材は私共も用意しますので、必要なモノがあればご記入をお願いします」
アンさんが準備していた書類を持ち出して、ケリアさんに渡す。
「生地なんかも良いモノを取り寄せますよ」
他の皆さんはもうノリノリである。
「さぁ最高のステージにするわよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます