【オンライン】345話:繋がったイベント





 道中に拠点を作ったのが僕だからか、この場所にもグランスコート同様にモンスターが湧き始めていた。ちょっとパニアにお願いして、景観重視で作った小さな祠と鳥居に小さな水辺を作って、初めて見たエーコーさんの泉をイメージしてみたのだ。


 すると、そこには小鳥のモンスター達が湧き始めた。


「またスノーはなにをやってるのさ」


 シュネーが呆れたため息を付きながら、僕をジト目で見てくる。


〈ただ掘立小屋があるだけっていうのは、なんか寂しからさ付け足してみただけ……なんだよ、本当に変な事は考えて無かったんだからね〉


 手を大きく振って、やましい気持ちは無かったと主張しているのにティフォとガウも、何故か僕に疑いの眼差しを向けてきている。


「作るのは楽しかったよ?」

「プラモデルを組み立てるみたいな感じだったもんね~」

「パニアはもう色々なモノが作れるのね。小さいゴーレムも可愛かったし」


 スズメちゃん達は僕と一緒になって、パニアと仲良く遊び感覚で作っていたので同罪だ。

 一生懸命に話しを逸らそうと、何か変えられる話題を必死に考えている。


「それにしても……この子達は、現実の鶺鴒(セキレイ)に似てるわね」


 フー先輩だけは、全く気にした様子は無く。生まれて来たモンスター達をジーっと観察してながら、楽しそうにスケッチしていた。


 チラッと見た絵の殆どは、ティフォを描いているようだった。すぐに隠されてしまったけれど、物凄く上手い絵だったので今度はゆっくり見せてもらいたいんだけどな。


 ちなみに小鳥たちは案の定というか、まぁ何時もの通りティフォに寄っていって、パンを餌付けに使って、膝元で小鳥達を撫でている。


 スパイク達は自分達の特等席とばかりに、ティフォの懐辺りに潜り込んでまったりしているが、微かに小鳥達に対してマウントを取っている様にも見える。


〈パニア、もう気になるところはない?〉


「うム、マンゾクのいくモノが出来た。我が師匠達にもしっかりとホウコクがデキる」


 ボウガさんやダイチお爺ちゃんが、今やパニアのお師匠さんという立場になっているようだ。家づくりから、家具まで幅広く作り出して。ウサギさん達の手伝いで農業から、開墾する技術までも得ている。


 パニアが居れば、もうどこでやっていけそうな感じになってしまっている。


「ある意味、建築の方が修行の経験値量は多そうでござるな」


「基礎は大事って事ね。戦い方は創意工夫で何とかなるけど、根本が駄目じゃあ話にならないものね、その点で言えばパニアちゃんは問題なく、飛び抜けて強いんじゃないかしら」


「そんなコトはない。我コジンでは弱い。我が出来るのはゴーレム達を生み出しウゴかすコトに重点を置いていたからな」


 単体で戦うとなると、僕やシュネーと同じく簡単にやられてしまうそうだ。


 どれくらい強くなったのかを確かめるために、定期的にウサギさんやハチさん達に混じりながら戦闘訓練をしているそうだが、一度も勝てたことが無いらしい。


「変な所は主であるスノー姫に似てしまったんだな」


〈僕は元々が戦闘に向いてないんだからしょうがないでしょう〉


「その代わりに皆が居るんだからね、頼りにしてるから頑張ってね」

「このメンツで負ける事は、そうそうないんじゃないかしら?」


 でも、このメンバーではまだ一度も戦闘をしたことが無いから、上手く連携は取れないと思うな。ティフォとスズメちゃんはお互いにやる事が分かっていそうだから、何とかなりそうな気がするけど……双子ちゃん達とガウやケリアさんは、危ないかも。


「ティー君、そろそろ行くよ」


 何時までも小鳥達と戯れていたティフォを先輩が強制的に引っ張ってきてくれた。


〈鉱山の方は、もう大体のプレイヤーさん達が探索を終えてるんですよね?〉


「えぇ、だから今更へんな場所が見つかるって事は無いと思うわよ」


 それを聞いて少し安心した。






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