【オンライン】328話:繋がる道と神社⑥




 戦闘を避けての餌付け作戦だった為に多少の時間は掛ったけれど、概ね予想通りの時間でズミナの居る鬼の村まで何とか引く事が出来た。


 反対側からも、ガウとミカさんがゴーレムを二体引き連れて道を引いてきてくれた御蔭でゲーム内時間の一日で終わった感じだ。


「反対側から来てくれて助かったぜ」


「イヤなに、丁度パーティーはそのままでござったから、合流ついでに道を敷いていった方が早く終わるのではとな、ミカ嬢に助言を頂いたのでござるよ」


「PTメンバーなら相手の位置とかも確認しながら出来るからね。こういう時に便利よね」


 マップがあれば僕等の位置を確認し、必要な道筋に沿って道を引き、後は僕等の場所を一人が確認ししながら、もう一人はゴーレム達に指示をしながら付いて行けば、僕達の場所とを繋げることが出来る。


〈神社の場所は決まった?〉


「うむ、牧場の近くにしないかと事で纏まったでござるよ」


 フー先輩の牧場か。

 確かにあそこならば、広さもあるし鬼達の村が発展する時に邪魔にはならないだろう。


「フーさんの牧場は特殊フィールドだし、神社が隣にあっても問題ないでしょう」


 それにもしかしたら神社の恩恵も受けられるかもしれない。


〈とにかく最低限の道筋は敷けたから、後はパニアとボウガさん達にお願いしないとね〉


 道を作りながら、パニアに相談できるようにイーゴさんにも話を通しておかないとだな。それが終われば、しっかりと鳥居の道が作られるはずだ。


「段差にするのもゴーレム達のお仕事だよね? 数が足りなくない?」


「いや、段々畑は爺ちゃん主体でやるって言うから、ゴーレム達は必要ないってさ。あの図体じゃあ細かで繊細な作業には向かないだろうって事で、ウサギ達を貸して欲しいそうだ」


〈貸して欲しいって言ったってさ~。僕の言う事なんて聞かないじゃないか〉


 ウサギさん達が主に従うのは、ティフォかダイチお爺ちゃんくらいだ。


「はは、まぁそう言うなよ。とりあえず了承はとっておかないとな。俺から返事を送っておくから、それで爺ちゃんの事だからすぐにでも動いてくれるんじゃないか?」


〈それなら、ボウガさん達と合流して、お互いに話し合いをしながら作った方が良いよね〉


「そうでござるな。それに一度道筋を作っているのなら、悪戯好きな魔物が居ない限りは大丈夫でござろう。本来ならば、アクティブ化したモンスターが邪魔をしてくるはずなのであるが……どうも、今回敷いた道は大丈夫そうでござるしな」


 戦闘が出来るティフォならまだしも、僕とシュネーを連れて道筋を作ってきた僕達が襲われていないと言うのは、パッと見でも分かるらしい。


「襲われなかったんだよね?」

「ボクらがあった魔物達は良い子ばっかりだったよね」


 シュネーがミカさんの問いに元気よく答えると、ティフォだけが視線を逸らせて、どう答えて良いモノかと悩んでいる様子だった。


「そうだな、概ね間違いじゃないだろうな」


「何でござるか、含みのある言い方をされるとかえって気になるんだな」


〈別に普通に退いて下さいって、お願いしながら餌付けしただけだよね〉


「可愛い子達も多かったよ」


 その可愛い子達はティフォの方に擦り寄って行ってしまい、僕の方に寄って来たのは逆に大きくなりそうな、カッコイイ魔物達が殆どだった。


 なんでお互いに嫉妬するような状態になったんだろうね。


 シュネーだけが唯一楽しんでいた気がする。僕とティフォは常にお互いに恨めしい視線と嫉妬が入り混じった視線を交互に向けていた。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る