【オンライン】329話:繋がる道と神社⑦




 何となく恥ずかしくって、僕とティフォは道を敷いていた道中の事を話すつもりはまったくなかったのだけど、シュネーが含み笑いをしながら、密かにミカさんとガウにばらしてしまっていた。


「それは見てみたかった光景ね」

「想像し易いんだな。お互いにエサを上げる時に嫉妬してる姿が目に浮かぶんんだな」


 道の邪魔になりそうな魔物を見つけると、お互いに一瞬だけチラ見してから「今回はまず先に自分が行く」というような牽制をしあっていた。


「どうしても諦めきれないのか、何度も新しい子を見つけては挑戦してたよ」


 僕等の姿を思い出したのか、シュネーがクスクスと笑い出した。

 そして、悉く相性の悪い子達には速攻でフラれるという行為を何度繰り返した事か。

 シュネーはちびゴーレム達に指示を出し、少し呆れながらも、ちょっと笑っていた。


〈別に良いでしょう、可能性がゼロじゃあないんだからさ〉


「お前はな……俺なんて絶望的に好かれないんだぞ」


〈その代わりに可愛い子達に好かれるんだから良いじゃんか〉


「お前の場合は進化前の奴なら好かれるんだから良いじゃんかよ。俺なんてな、大きくなる可能性のあるヤツからも嫌われるんだぞ、その上にこの格好だ」


 女物の装備しか着られないという事を見せつけるかの様に服を引っ張って、僕に主張してくるけど、それなりの恩恵は得られているのだから良いと思う。


 似合い過ぎているのが可哀想だとは、思うけどね。どう見ても、小さな魔物達を手懐けているティフォの方が絵になるんだよね。


「はいはい、痴話げんかはそこまでにして、次はどうするの? ズナミの村とグランスコートを繋ぐんでしょう? 真っ正面から繋ぐの? それとも少しは横に逸れる感じで建てていくのかは、早く決めてあげなきゃじゃない?」


 ミカさんが周辺の地図を取り出して、今どんな感じになっているかを見せてくれる。


「前のイベントである程度は綺麗な状態になってるけど、流石にこの道に鳥居を建てて行くわけじゃあないでしょう?」


〈あそこはもう、別の目的の広場として使ってますからね、下手に弄らない方が良いと僕も思いますからね。それとは別の入り口からって事で、フー先輩の牧場近くに入り口を作って、そこから道を伸ばして行こうかなって思ってます〉


「また何でそんな場所から新しく伸ばすのでござるか?」


〈流石にもうグランスコートで畑の場所確保が難しくなってきてるからね、この際だから、ズミナの村と共同で扱う畑を増やそうかなって思ってさ〉


 流石に一つの場所で食料を作ってるのは、何かあった時に怖いからね。


 それに離れた位置だから、別に食料をメインで作らなくっても良いわけで、ケリアさんとか喜びそうなモノを育てるのもアリかも知らない。


〈まぁなにをメインに育てるかは、ダイチお爺ちゃんと応相談って所だね〉


「ズナミ達の好物を育てても良さそうだしね。フー先輩の所でモンスターを鍛えるって感じで、開墾なんも手伝ってくれそうじゃない?」


「確かに、預かるだけじゃなくって、能力値を上げるのにも良さそうだな」

〈その辺はティフォがフー先輩に相談を持ち掛けてみてよ〉


 僕が話しに行くと、あらぬ誤解を招きそうなので、穏便に済ませるためにもティフォが話しに行った方が相手も喜ぶだろう。


「いや、スノーが行った方が良いんじゃないの?」

〈何ってるのさ、シュネーは僕に死地に行けとでも言うの?〉

「こういう時に、なんでスノーって頭が働かなくなるんだろう?」

「仕方ないでござるよ。そもそもの元凶からして、そっちの方面には無頓着でござる」


 何故かは分からないけど、僕とティフォを残念そうな顔で見てくる。




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