【オンライン】327話:繋がる道と神社⑤




 エーコーさんは建てたばかりの神社を少しだけ弄りたいと言ったので、僕等はこのままズナミの居る村を目指す事にした。


 此処からの道を繋げるために、シュネーにはパニアの力を借りてチビッ子なゴーレム達を率いてもらい、大まかな道を決めながら歩いている。


「地道だね~。まぁボク等が道端に一々石を並べて置かないで良いだけで楽なんだけどさ」


〈小さなゴーレム一生懸命に働いている姿って、僕は好きなんだけどな〉


 レンガブロックを生成する係と、それを一つ一つ道に並べていくのだが、運ぶ時に頭の上に持ち上げて、一生懸命にテクテク歩いて並べていく姿が物凄く可愛らしい。


 ちょっとした武骨さもありながら、几帳面にも真っすぐの道になる様に両端に並べていき、鳥居の道となる部分には目印の丸い石を置く。


 馬車の通り道になる部分には、木の板組を繋げて広さを確認しながら横幅を広くして、行と帰りの道の確保しながらゆっくりと進んで行く。


 その道中にはモンスターも出現する。本来ならば、そいつらも倒していかないと道が作れないのだけど、別に戦わなくても良いのではという考えから、餌付けしてみた。


「それってイベントの時に屋台で買ったモノばっかりだよな」


〈こういう時に便利だよねインベントリ……中にあるモノが腐らないんだからさ〉


 誰もが欲しがる能力のはずだよね。手荷物は増えないし重さも基本的には感じないのだから。しかもそれが人一人分、約軽トラック一台並みに運べるんだからさ。


「確かにエコっちはアクティブ化してないって言ってたけどね、なんで餌付けで魔物達を誘導してるの? おかしくない?」


〈しょうがないじゃないか、僕等は戦いが得意じゃないんだから。こういう時には、戦わずして誘導をした僕等の勝利ってことでさ〉


「悪い訳じゃあないが……何と言うか、妙な光景なんだよな」


 猫ちゃんを呼ぶように手前にエサになるモノを出して待っていると、警戒をしながらもゆっくりと近付いてから、匂いを嗅いでから少しずつ食べてくれる。


「本当なら食べてもくれないんだよね」


「普通のモンスターは食べないな。俺達みたいなテイマーは別としてな。特殊なエサを作って、それを目当ての魔物に食べさせて仲良くなるって感じだからな」


〈あれ? それじゃあなんで食べてくれてるの?〉


「それが分からんから悩んでるんだよ」

「そもそもさ、スノーって小さい子達から怖がられるんだよね」


 そう言えば、そうだったね。僕はまだウサギさん達を撫でられた試しがない。


 だというのに、ここの魔物達はあんまり怖がっている様子がないように思う。


「あぁ、それは多分だけど、将来的に大きくなるヤツには効かないんだと思う。さっきから餌付けしているモンスターは、ランクが上がって進化していくと車並みにデカいから」


〈なるほどね……という事はさ、ニンフィも大きくなるって事かな?〉


 ちょっと考えていると、確かニンフィは僕の事を最初から怖がっていなかった気がする。


「あの種族は見たことないから知らねぇ。図書館にでも行って図鑑を読まないと分からないだろうな。もしかしたら生みの親だったから懐いたっていう説もあるから、正直にってどうなるかは分からないね」


 神社の影響なのかは知らないけど、知力の高いモンスターは交渉次第で退いてくれる。


 小さな魔物達はティフォの分野で、餌付けしつつ道を作る予定地から釣りだし行く感じで追い出しながら、シュネーと僕とでせっせと道を引いていく。





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