【オンライン】326話:繋がる道と神社④
素材やら施設設置にファーマーポイントをつぎ込んだので、五十万近くあったはずなのに、手元に残ったポイントは三千程に減ってしまっている。
もしもの時ように、グランスコートの全体で使えるお金には手を付けていないが、流行り病や災害なんか起きた日には一気に消し飛んでしまうだろう。
〈う~ん、余裕はまだないかな〉
「そう思うんなら、無駄な事に使うなよな」
「本当だよ、この鳥居の道が機能しなかったら無駄に終わっちゃんだよね」
神社の内装はというと、小物類や収納スペースなんかもあるけれど。肝心の祀られているモノが一つとしてないみたいだった。
〈エーコーさん? どうかな〉
「ふむ、悪く無いのう」
エーコーさんの泉に合いそうな見た目の神社を選んだので、かなり高額なポイントだったけれど、その値打ちはあったようである。
「コレだけのモノならば、結界と水鏡の宝玉を飾るにも丁度良いであろう」
一人頷きながら、僕等がよく使っていた転移の祠から大切そうに水鏡を取り出し、神社の中央にある台座に飾りなおしている。
それだけで広範囲の空気が一気に浄化されるような、心地良い風に包まれていく。
堀井の周りには、妖精達が喜びそうな草花が一気に咲き乱れて、まだ苗木だったぶどうの木やリンゴの木が一気に育ち、実を付けていく。
守りの像はエーコーさん達に似た感じの乙女に白い蛇の様な像が見守っている。足元は大きな花でそこに座っている形になる。
〈凄いね、此処までとは思わなかった〉
「すっごく身が軽いんだけど⁉」
「我も此処までのモノとは思わなんだ……これは、想像以上の効果があるようだのう」
「エーコーさんも驚く程の効果って、具体的に何が起きてるんですかね」
雰囲気もそうだけど、息を吸っているだけで癒される空間って凄いな。
目に見えている範囲で僕等に分かるのは、それくらいだったけどエーコーさんからしたら、それよりも驚くべき変化があったらしい。
「ふむ、正確な把握には少し時間が掛かるが、この森に住まう者達は軒並み穏やかな性格になっておるようだのう。悪い瘴気が溜まっていた場所も、徐々にではあるが浄化されておる」
森の中にある、ダンジョン要素の洞窟までには効果は及ばないらしい。
けれど、そこから邪悪な魔物達が外に出られる事は無いと言う。
「ただ、お主達には良い事ばかりでもないみたいだがのう?」
〈どういうことですか?〉
ちょっとだけ意味深にエーコーさんが言う。
「なに、コレだけの力が強まったのだから森に住む魔物達も少し強くなってしまっておる。まぁ下手に喧嘩を売らなければ襲われる事はないがな」
確かにデメリットと言えばそうなんだろうけど、多分だが大丈夫だと思う。
〈恩恵的なのは、何か分かりますか?〉
「それは見た通りであろうな」
エーコーさんは花々や木々を見ながら、僕の方をみて微笑んだ。
想像していた通りに、水質やら土の質なんかが軒並みに上がっているとのことだった。
エーコーさんの泉もそうだけど、前よりも鮮やかで澄み切った色をしている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます