【オンライン】324話:繋がる道と神社②




 取りあえず、僕の考えていた事は横に置いておいて、現環境で作れそうなモノを改めて考え直した結果は、畑仕事をしているウサギさん達を操縦者にして、果物なんかを運べるくらいの荷馬車をボウガさんに拵えて貰い、そこに少しだけパニアの力を加えるといった案に落ち着いた感じになってしまった。


〈……僕のロマン〉


「スノーは夢を見過ぎなんだってば、千本鳥居の案はそのまま残してあげたでしょう」

「シュネーの言う通りだぞ。本来は要らないモノだったんだから、千本鳥居が一番」

「まぁなんだ、嬢ちゃんは頑張った方だと思うぞ」


 必死に色々な案を提出したのに、その殆どをティフォとシュネーに却下されてしまった。

 公平な審判として呼ばれたのがボウガさんとイーゴさん、それにミスユ団長とエーコーさんにズナミといった面々だった。


「我はどれも面白い案だと思うておるぞ。この吊り下げて動かす仕組みなどは、我等の森で試してみても良いであろうか?」


〈はい、どうぞ……グランスコートだと無理そうなので〉


 レールが上で吊り下げ方のモノレールっぽい感じの案を出してみたのだが、鳥居の中に通しちゃったらダメだろうという事で、却下された。


 それならば横にと考えたのだが、逆に鳥居の通路と分けて使うなら馬車や騎獣達の道にしたいという事で、どちらの案もダメ出しをくらう。


 しょんぼりとしていると、ミスユ団長に慰められ、エーコーさんに撫でられている。

 流石はグランスコートを代表して立つお姉さま方だと思う。


 包容力が半端ないです。どちらも良い匂いがするし、ミスユ団長なんてモフモフの尻尾が包んでくれるし、エーコーさんはリラックス効果のある匂いで落ち着かせてくれている。


「しっかりと道を繋ぐ案は通ったのであろう。ならば良いではないか。童達の神社も立派な社を建ててくれるそうじゃないか。楽しみにしておるぞ」


〈そりゃあね。本殿だからしっかりとした建物で豪華にしないと〉


 お稲荷様の神社は質素に見えても、しっかりとした技術に装飾が施されて、機能的な建物じゃあないなんて、僕が納得しないしね。


 拝殿などの神社に良くあるモノはポイントで設置してしまって良いのだが、思い描いたような神社は無かったので、しっかりとボウガさん達に作ってもらうしかない。


 神社に必要な小物類や施設はポイントで補いつつ、細かな部分まで弄る為にある程度は自分達で造るしかないという感じで纏まった。


「俺達にもご利益があるってんだからな、そりゃあ気合を入れて作らせてもらうぜ」


 神社の効果については、憶測の域を出ないが他所ではしっかりと効果があったという情報を載せて、ボウガさんに教えたので今ではすっかりと乗り気になってしあった。


「確かに我の力である恩恵を受けられるなら、畑や水なんかの質は上がるであろうな」

「千本鳥居の道で神通力が届けば、だがな」


「そうそう上手くいくわけじゃないんだから、期待はし過ぎないでよ。殆どはスノーの暴走によって考えられた案なんだからね」


 二人は釘をさす様に言うが、エーコーさんやズナミは何故か知らないが僕を見て、ニヤニヤと笑いながら期待している感じが伝わってくる。


「しかしなぁ、こ奴が行動を起こすとなると、基本的には面白い事しか起きておらん」

「うム。出なけれバ、自分タチが手も足モ出ズに撒けル訳ガなイ」


〈そんな変な期待は要らないんですけど〉


「日頃の行いだなぁ、お二人の言う通りだと俺だって納得しちまうもんよ。つうかな、お前さんが此処に住み始めてから、何かしでかした事しかねぇじゃねぇかよ」


 ボウガさんの半目でじっとりとした目で見られながら、僕を揶揄う様に言う。


 その視線に耐えられずに顔を背けるしか、僕には出来なかった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る