【オンライン】325話:繋がる道と神社③




 本当ならば、日の出やら月の位置なんかも考えて鳥居を建てたかった所なんだけど、それを一から考えてしまうと、建て直しをしなきゃいけない場所なんかも出てきて、時間がいくらあっても足りなくなってしまうので、素直に妥協案で道を作っていく。


 鳥居や神社の設計案をボウガさんと相談しながら、エーコーさんとパニアに手伝ってもらい、ミスユ団長の要望も取り入れた内容になったと思う。


 パニアとウサギさん達の御蔭で、鳥居の柱を立てるのも随分と楽にできるし、エーコーさんから提供して貰っている、真っすぐな木も数は不足ない。


 ただ、ちょっとだけ景観を良くするためにごねた部分があるけど、それはエーコーさんも賛成と言って積極的に協力して貰った事がある。


 森の入り口やエーコーさんの泉にある神社には、エーコーさん自身の力が宿った巨木を二つ建て、鳥居みたいに繋ぎ合わせにしたモノを作って貰った。


 そしてズナミ達の方に建てる神社の方では、パニアの協力を得て石鳥居にして貰っている。これならば入り口だって分かり易くなって良いだろし、景観も引き立って見える。


「最初に我の所で良いのか?」


〈エーコーさんの所が一番に作り易いんですよ。むしろこちらが宜しいんでしょうかって聞きたいんですけどね。此処に神社を建てるとグランスコートの一部として与してもらう事になるんですよ?〉


 グランスコートの一部としてじゃないと、ファーマーである僕がポイントを支払って建てる特殊施設という扱いにならないのだ。


 グランスコートの住民が建てるという手段もあるけれど。今は神社の建築が出来る程の凄腕のボウガさん達にはズミナ達の村に掛かりっきりになってもらっているので、時間短縮の意味も込めて、提案したら快く承諾してくれしまったのだ。


「良いよい、こちらにも色々と好都合でな。渡りに船という――おっと、何でもない」


 それは何でもないっていう感じじゃあないんですけどね。


「エコっち……それは幾らなんでも無理があるよ。何でもない感じじゃないよ?」


「あ、バカ。突っ込まなくて良いんだよそういう時は」


 ティフォの言う通りで、ここは敢て聞こえなかった事にして無視した方が良かった。

 エーコーさんの口元がニヤっとした笑みに変わった。


 その顔を見たシュネーもすぐに自分がしくじったと気付いて、僕の方に助けを求めるように顔を向けてくるが、僕等全員が既に巻き込まれてしまっているので、逃げ出すほかないのだけど、エーコーさんは用意周到に逃げ道を塞ぐように立っている。


「ほれ、どうしたのだ? 早う神社とやらを建ててしまおうではないか。のう、スノーよ」


 これは絶対に逃がさないという感じなんだろう。


〈はぁ……そうですね。ちゃんと建てますから、そんな所に立ってなくても大丈夫ですよ〉


「そうか? ならばもうちょっと近くで見るかのう」


 そう言って僕の隣に立って、僕の手に持っているアイテムを興味深そうに見つめている。


 前に泉を設置した時と同じ要領で使うと、指定された範囲が光り出した。その光っている範囲に何もないことが確認されると、泉の時とは少し違って木造のブロックみたいなモノが次から次に飛び出して、立体パズルみたいにカタカタと組み合わさって神社が完成する。


「ほう、なんとも面白い力じゃのう」




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