【オンライン】319話:スノー達の知らない所で②
〈ちょっと皆でだらけていただけ、それなのに何故か知らない所で話題になっていた不思議。というかさ、お姉ちゃんと居たせいで僕とシュネー、それにティフォがアイドル扱いだよ。面倒な事になってるんだけど⁉〉
「ぐふふ、スノーたんのかわゆいシーンが目白押しですなぁ」
シュネーが変な笑いをしながら、ズィミウルギアの公式が新しく作ったPV映像を見て楽しんでいる。時折、涎を拭くような仕草が見て取れるのだが、気にしない方が良いだろう。
「お前らは良いじゃんかよ。俺なんてハスキーボイスな女性として知れ渡ってんだぞ⁉ しかも一部の奴等が俺が男だって知っててニヤニヤしながら見てるんだぞ⁉」
その可愛らしい顔で涙目になりながら訴えてくるのは止めて欲しい。
僕も変な扉を開きそうになってしまうからね。
こういう時に、ティフォを弄り倒して辱めて遊ぼうとする、お姉ちゃんやらフー先輩の気持ちが少しだけ分かりそうになってしまう。
「ティフォナ妃よ。あんまりそんな感じでスノー姫に絡んでいると、第二、第三の小悪魔を増やす事になるでござるぞ」
ガウがティフォの肩を優しく叩いて、なんとか泣きついてくる勢いを諫めてくれる。良く身に覚えのあるティフォにとっては、その言葉だけで凍り付いてくれるのでありがたい。
ただ、そんな絶望した顔に豹変して僕を見ないでほしいんだけどね。
〈安心してよ、先輩達みたいにはならないから〉
すぐにパッと花が開いたみたいな笑顔になる。
こういうコロコロと変わる変化が楽しくて、先輩達はティフォ……基、樹一のヤツを弄り倒したくなるんだろうね。
僕がそういう推察をしていると、自分の行った事を未だに理解してくれていない様子を見てか、ガウが大きく溜息を付いている。
「そういう所を直せと何度も助言をしてあげてるんだな、いい加減に理解しないと、そろそろ痛い目にあうでござるぞティフォナ妃よ」
「えぇ! 何でだよ⁉」
〈残念ながら、今回はガウの言葉が正しいと思うよ〉
僕だって少しだけ、本当にちょっとだけだが、扉を開きかけたんだから。
〈それに、ティフォはまだマシな方じゃないか。僕とシュネーなんてかなり多めに取り上げられているみたいだからさ、本当にお姉ちゃんと一緒にデビューした感じに映ってるんだよ。ゲーム内とは言っても、新人デビューみたいな感じに取り上げられてるんだからね〉
何せ僕の演奏からPVが始まり、シュネーと一緒にサビで盛り上げていく感じになっている。歌うお姉ちゃんとティフォによって更にお姉ちゃんのスキルとガウの演舞で作られて、影絵を上手く使い、他サーバーのシーンに切り替わっていく。
終始映っているのは、僕とシュネーでシーンの移り変わりにティフォとお姉ちゃんが交互に入れ替わる感じでサーバーで活躍した人達へと移り変わっていく。
しかもだ、PVでは僕等の演奏に加えてしっかりとバックミュージックで大きな盛り上げの曲になってしまっている。
僕等の楽器の音をメインとしているから、ピアノや弦楽器が中心で使われている。アコースティックギターで優しく合わせる様なハーモニーになっている。
〈これってさ、直してないんだよね?〉
「きっと、ここで歌ったモノをそのまま使ってるんだな。多少の加工はされているとは思うでござるが、シュネー妃とスノー姫の音源はそのままなんだな」
「このカットインとかすっごい良い感じじゃない。もうボクとスノーが一心同体って感じでさ、最高なんだけど」
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