【オンライン】318話:スノー達の知らない所で①




「新しいPVみたかよ」


 鉄板焼きで料理を作りながら、グランコートの店長ことクランリーダーが、掲示板を開きながらクランメンバーに話を振る。


「みた~、まさかの我等がサーバーのグランスコートのお祭りイベントが使われるとは思わなかったよね。しかも、その映像にスノーちゃん達が映ってるのよ」


 魔女がテンション高く答える。


「え、マジかよ。俺ちょっと見てくる」


 知らなかった赤い額宛の忍者が、速攻でログアウトして居なくなった・


「他のサーバーの様子も映ってたけど、アイドル達とガチ対決で勝ったのってさ。最近話題の某バーチャルライバーさん達だっけか? あんまり見る時間がないから中途半端な情報しかしらんのだが、勝ったってガチ勝負でか?」


 大将が集まったメンバーに出来立ての料理を配りながら聞く。


「アイドル達と違ってゲームガチ勢の集まりだからね、ウチらと同じ感じで魔法やらギアを駆使して、ド派手なパフォーマンスをしてお客さんを呼び込んだんだってさ」


 ミカさんが、ズィミウルギアのニュース盤を開きながら答えてくれる。


「宣伝やらメールを使って、各所で協力しながらサーバー全体でアイドル達とステージバトルをしてたみたいだぜ。その映像も新しいPVに映ってるから観てみなよ」


「ダンスバトルに演奏勝負なんかで盛り上がってる様子は、直で見てみたいイベント公演だったよ。こっちも負けてはいなかったけどね」


 PVを見た獣使い達がご飯を頬張り、テイムモンスター達にも分けてあげながら談笑する。その手元には、ミカさんが用意してくれた情報をまとめた新聞が地面に広げられている。


「迫力やら歌やらは、正直、最後の領主とアイドル達の元締めのオトちゃん達レベルだもん、そりゃあ、ゲームに不慣れなアイドル達が歌って踊るだけじゃあ負けるよな」


「大まかに話題に上がったのは、ライバーが居るサーバーと我らがグランスコートの映像が一番長く映されてたね。他の所でも掲示板で話題になってたよ」


 新聞を魔物達と一緒になってみながら、他の面々も集まり出した。


「という事は、妖怪達のテントをもぎ取ったって事だよね。アレって勝とどうなんの?」


「娯楽施設として、サーカステントとサーカス団を領地に残せて、その全部の所有権を獲得できるみたい、テント内の施設も使いたい放題だけど、妖怪達の信頼度なんかは、あんまり良くはないみたいだよ」


「どういうことよ? 私達の所ではかなり友好的な感じだったじゃない?」


 ケリアさんが不思議そうに聞く。


「友達曰く、条件はグランスコート……つまり東大陸の魔物達と暮らす場所。先に進む為の都市国家と友好的な関係である事が条件なんじゃないかってさ」


「他のサーバーでも同じようなイベントでサーカステントを設置した人達がいたんだけど、魔物達と友好関係が結べないような発展を遂げてると、あんまり協力的にはなれなかったみたいだし、助けられても住民との間で問題が起きて解決しなきゃならないってさ」


「都市国家と友好的なら橋渡しで信頼関係が築けているから、住民達とも馴染みやすいって話は出てたかな。だから、スノーちゃん達が頑張ってなかったら、今頃はもっと大変な目に合ってたかもしれないね」


「流石、我等がアイドルの領主様であるな」


「何だかんだで、魔物達からも評判が良いし、住民達にはかなり慕われてるもんね~」

「俺達も、きっちり蔭から支えてやらねぇとな」

「今や、非公式ファンクラブまで出来ちまってるからな」

「その名誉会長が、この場に居る訳だが……良いのかよ?」

「何を言う、色々なモノ達から守る為には必要悪だぞ」


「寄るな暗黒騎士が⁉ お前はスノーちゃん達に絶対に近付くんじゃねぇぞ」

「そうよ、ティフォナス様に近付いたら粛清するからね」


「フッ、当たり前である。フェミニストはノータッチで遠くから見守るのが仕事なのだ」





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