【オンライン】296話:勝負と試合と勝敗の価値(6)
僕がオロオロと周りを見回してみたけど、皆もどういう状況かが解らないらしい。
〈な、なんか思っていた展開と違うんだけど⁉〉
「知るか、話しが飛躍し過ぎてて俺達だって付いて行けてねぇよ」
「先ずは順を追って説明をして欲しいんだな」
「急に仲間になるって言われてもねぇ~」
なんか僕が一番前に出されて話を聞いている感じになってるけど、別に僕じゃなくても良いよね。この位置は良くない気がするからティフォ達の後ろに隠れよう。
そう思って何歩か後ろに下がって盾にする様にガウやティフォの背後に回ろうとしたけが、すぐに気付かれてしまう。
背中をグッと押されて、ティフォ達に目でお前はそこに居ろと圧を掛けられた。
「う、うむそうだな。その……ズナミは此処の統括責任者なのだろう? それにだな、エリエ達がのう、ズミナは御前の主なのだろう……だからのう」
急に顔から湯気でも出そうなほど真っ赤にして、両手の人差し指をツンツンとくっ付けながら、上目遣いで僕を見上げてくる。
〈あ~、はい。みなまで言わないで良いです〉
聞いているこっちが恥ずかしくなってくるぞ。
確かに僕が直接に橋渡しをしてやれば、ズナミも意識するだろうし周りとの兼ね合いやら面倒事も無くなるだろう。
「なんというか、皆はそれで良いの?」
シュネーが若干呆れ気味に、ミスユ団長の後ろに控えてる妖怪達に聞く。
「皆さんは団長と付き合いが無いから知らないんですよ。コレは絶好の機会なんです」
「そうそう、ただでさえトシッ――⁉」
有無を言わさずにタヌキさんがぶっ飛ばされ、後ろに控えていた仲間(主に女性)達よって集団でボコボコにされる。
僕を強張る手でティフォの裾を引っ張っる。
〈何したの? 僕には見えなかったんだけど〉
きっとミスユ団長が何かしたんだろうけど、見えない謎の力で吹っ飛ばされた様にしか見えなかった。破裂音すらしていない。
「影を使った攻撃っぽかったな。尻尾の一本が動いて攻撃したんだよ」
「ちなみに、エリエっちにもカスってたから、発言には気を付けろってことじゃない」
どうやらシュネーも見えていたらしく、こっそりと耳打ちして押しててくれた。
でもエリエさんの発言に対して、後ろに控えていた妖怪達の大半……いや、全員が彼女の発言に頷く様な仕草をしていたのを僕等は見逃さなかった。
彼等もミスユ団長には早く結婚をして欲しいと思っている事は良く解った。
〈慕われてるね、ミスユ団長って〉
「その、恥ずかしくなるから止めて欲しい」
茹でたタコみたいに真っ赤になってしまった顔を両手で覆い隠してしまった。
〈ズナミ、しっかり面倒を見てあげなよ〉
「うム、主に言わレなくとも、しっかりと支えルぞ」
ここまで分かり易い反応をしてるんだから、いい加減に察して欲しいもんだ。
コレだから鈍感な人は困るんだよな。
〈丁度良いし、なんか人も集まってるからイベントミッションに付いて話しちゃって良いよね? ミスユ団長達も僕の案でやるって事で良いのかな?〉
「勝負を投げる訳ではないのであろう?」
〈試合には負けちゃうかもしれないけどね。でもあっちよりも多く人を集めてやろう〉
僕としてはミスユ団長達が来てくれるんなら、イベントミッションが失敗しようが成功しようが構わない。試合には負けるかもしれないけれど、勝負自体には買ってみせる。
アイドル達がどんな顔をするか、今から楽しみでしょうがない。
「……スノー、その不敵な笑みは止めた方が良いよ。せっかくの可愛い顔が台無しだから」
シュネーが少しだけ引き気味に言いながら、僕の頬を指先でムニムニと摘ままれて、強制的に表情を変えられてしまった。
そんなに変な顔をしていたのだろうか、最近は顔に出やすくなってるのかな。
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