【オンライン】283話:サーカス団の思いと恋の行方(9)
色々な方向性も決まったし、今日は解散という事でホームに戻って来ると。そこにボウガさんが何やらムスッとした表情で、ずっと僕等の玄関に仁王立ちしていた。
〈あの……どうしたんですか?〉
「あぁ、祭りを開いたりと盛り上げグランスコートを盛り上げてくれるのは有難いんだがな、そろそろお前さんの耳にも入れて貰おうとおもってよ」
どういう事だろうと思い、後ろに居るティフォやガウの方を見るが、二人とも知らないと言う様に首を横に振って答えてくれる。
「はいは~い、ボクには良く解んないんでボウガっちはもうちょっと分かり易く言ってください。というかね、回りくどいから何時もみたいに、さっさと説明して」
「はぁ、シュネーの嬢ちゃんは相変わらずだな。説明するとだな、此処も人が増えただろう、盛り上がるのは良い事だが、その分だけ治安の維持も難しくなってきた。幅広くなぁ、アレもコレもって訳にもいかねぇのよ。金策も技術革新も大事だが、町内の警備やら医療とかな、そういう事も大事だ。だが、それには最低限の教育が必要になってくる、それなりに絞っていかないと失敗の原因になるぞ」
グランスコートはただでさえ他種族が住み、交流する場所だ。
ボウガさんの言う通り、中途半端にしていると取り返しのつかない事にはなりそうだ。
全部が全部、仲良しこよしで上手く廻る訳じゃない、きっと目に見えていないだけで、僕等が居ない間に小さなトラブルは起きているのだろう。
それなりに鬼達との交流も出来初めているみたいだし、治安の方を強化しつつ、学校みたいに学べる場所と、自衛隊と警察なんかの訓練所も作らないと不味そうだ。
〈ボウガさんからみて、早急に必要そうな要素は?〉
「治安の方がちと心配だな。だが、正直なはなし此処に住まうモノ達は頭が良いって訳じゃあねぇんだ。知識の面で金策でかなり損をしているだろう。それに、治安の方もなぁ、他国との交流が増えた御蔭というか、せいで要らないトラブルが増えている、知識が低いせいでな。最低限の礼も出来やしねぇ者が多すぎだ」
結構な問題が浮き彫りになってきたな。
イベントなんか無ければ、その辺に手を付けていただろうけど。
交流という意味では大きなきっかけで、良好な関係を築ける様になった事は大きいし。
一概に悪いと言えない。
教育や治安の悪化で後手に回ったのは、自分の考えが甘かったのもあるな。
〈……あれ? でも交易自体は上手くいってるんですよね?〉
「あぁ、そりゃあダイチの旦那が仕切ってくれてるからよ。あの人の下で働いてる奴等は、此処じゃあ優良株よ。若い女や、男共にモテモテだぜ。まぁ、仕事には厳しいがな」
流石はお爺ちゃんだ、遊びつつもしっかりと締める所をちゃんと締めて、先を見据えて動けている。ドヤ顔で今頃僕等を見下ろしている事だろう。
そしてティフォや僕達に敬い、褒めて貰おうと画策している筈だ。
「これは経験の差がモロに出たでござるな」
「あぁ、それに俺らに学ばせる為か、必要最低限以外の事は全部こっちに丸投げだ」
〈施設の整備と増強とか考えて無かったな……学校か、人材はどうしよう〉
「そういうのはさ、聞けば良いんじゃない? 頼りにすれば絶対に駆けつけてくるよ」
シュネーがフワフワと浮きながら、窓の外を見て指さしている。僕が「誰を」と聞く前に、その人物が期待の籠った眼差しをしながら窓枠から半分ほど顔を出して覗いていた。
〈怖いです、ホラーですよカミルさん〉
「肝心な時にいっつも皆さんで解決をしちゃうからです。張り付いていないと私の出番がないじゃないですか⁉」
「ストーカーでござるぞ」
「やっぱ、人選ミスなんじゃないか? カミルさんと仲の良かった、まともなアンさんって受付嬢さんの方が良かったんじゃないか?」
今更にそんな事を言っても遅いだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます