【オンライン】267話:サーカス団(2)




「はいはい! 質問。お姉さん、ちょっとだけ中を覗くのっていうのは出来たりしますか?」


 シュネーが一生懸命に飛び跳ねながら主張して聞く。

 でも普通に飛んで近づけばいいのに、僕の頭の上で飛び跳ねないでほしい。


『ん~、練習風景だけになりますが宜しいのですか? フリーパスにファーマーであるお二人が居るのであれば、許可は下りるかと』


 公演だけじゃあなくって普段のサーカス団を見れるのは貴重だな。


〈僕も見てみたいですね〉


 少しだけ受付のお姉さん悩んでいたけれど、何度か頷き目付きが変わった。


『では、少しだけお待ちください。確認と許可を貰ってきますので』


 そう言って公演前のテントへと颯爽と消えていった。


「なぁ、俺の気のせいかな。あの人って人間だよな?」


 ティフォが何故か顔を青くして、お姉さんが消えていった場所を指さしていう。


「何を言ってるでござるか、しっかり垂れ幕やカーテンを開いて中に入っていたんだな」

「ティフォっちてばさっきの幽霊さんの事をまだ引き摺ってるの? 怖がりだね~」


 ガウとシュネーが呆れた表情でティフォを見てため息をついた。


〈……ミカさんとアズミルは何か変だと感じたりした?〉


 念のために二人にも確認してみる。


「特には、なにも?」

「自分も彼女は普通の人に見えたけどね」


 という事は、やっぱりティフォの勘違いかな。

 僕も彼女に可笑しな部分は感じなかった。


『お待たせして申し訳ございません。許可が下りましたのでどうぞ、ご自由に見学をしても大丈夫とのことでした』


 サッと体を横に退いて入り口を開いてくれる。


 さっきまではテントの中が見えなかったのに、急にテント内の景色が見れる様になった。


「なに驚いてるんだ?」


〈いや、だってさっきまでは壁でもあるみたいに中が見えなかったんだよ〉


「あぁ、それはきっと結界かシールドの効果なんだな。ゲーム内で入れない場所には良く見る光景なんだな。特定の場所をアップデートをしていたりする場合に使われたり、運営側が入ってほしくない場所にはそう言ったモノがあるんだな」


 なるほど、そういう事か。


「うわぁ~、中に入るとまた違った感じだね」

「テント内が異様に広いよ。テントの外装はそのままなのに……すご~い」


 エーコーさんの小屋みたいに、特殊な空間になっているのだろう。


 人が疎らに居て、人数もかなり多い。場所事に練習の種類違い、右側は魔法系、左側に肉体的な練習をしている人達が居る。


〈…………ん? これって〉


 何時もの癖で、新しい場所やエリアが変わった時にマップを見る癖がついてしまっていたのだけど、此処に居る人達はNPCではない。


 何度か瞬きしたり、少しだけ擦って見てみたけど……。

 そこにはしっかりと、プレイヤーの表示でマーカーが映っている。


「なんだ? どうしたんだよ?」


 受付のお姉さんは……NPCだった。


〈此処に居る人達、全員がプレイヤーさんだよ〉


 僕の言葉に、少しだけ口を開けてティフォがアホ面で停止していた。


「え? えぇ⁉ 嘘だろう」

「いや、スノー姫の言っている事はどうやら本当みたいでござるぞ」

「自分も同じだよ」

「私もプレイヤーって出てる」


 てっきりNPCがサーカスをしているのだと思ったっていたのに……なんでだろう。




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