【オンライン】262話:ハロウィンイベント(11)




「思わぬ拾い物だったね。イベクエの中で貰えるアイテムはランダムだって噂だったけど、コレはアタリだよ~。大当たり、最高の気分」


 ミカさんがクルクルと飛び跳ねる様な勢いでスキル水晶を見ている。頬なんか緩みまくりで、だらしない笑顔が何とも可愛らしい感じだ……非常に残念なお顔なんだけどね。


 話しかけるとダル絡みされそうで怖いからか、皆がミカさんを無視している。


「最後の場所は渓谷の鬼街でござるよな」


〈多分、が頭に着くけどね〉


「でもさ、落ち葉とか紅葉した葉っぱがあるのって、渓谷にあった鬼の街くらいだよ」

「グランスコート側で起きたイベントだから、こっち側にイベントが多いんじゃない?」


 その割には中央都市の方に幾つもイベントがあった気がしたけどね。


 アレかな、最初の街を散策する人が少なかったから運営さん達が、色んな所を見て回る様にって感じで中央都市を探すようなイベントだったのかな。


 来た時よりも馬達はスムーズに特殊な馬車を動かしている。


〈大分慣れた? 焦らずゆっくりで良いからね。無理しないでね〉


 曳いて……回して? の方が正しいのかな。前を歩いてくれている馬達を撫でながらお礼を言うと、嬉しそうな声を出して体を少し揺らす。


 尻尾や耳もぴょこぴょこ動き、元気いっぱいというアピールをしてくれる。





 グランスコートに着くとすぐに解体屋のレースさんとコフさんに馬達を託す。


「転移で一気に向かう?」


「そうだね、時間も限りがあるんだから転移で行こうか」


 シュネーは面倒だから一気に向かいたいだけだろうが、確かに僕が一緒に居る以上は転移での移動が一番良いね。足が遅すぎるから……現実ならもうちょっと早く歩けるのに。


〈それじゃあ早く行こう〉


 他にも見て回りたい場所は沢山あるんだから。

 そうやって皆で渓谷の鬼街に飛んで写真に写っている場所を探して回った。

 見つけた場所はやっぱり桟橋の掛かっている入り口辺りだった。


 ただその辺を徹底的に探して回ったのだけど、特に何にも居ない。

 写真に写っている感じの時間帯と一緒なのに、幽霊らしき影もない。


「何にもないな」

「可笑しいでござるな。写真に写っている場所と同じだと思うのでござるが」


 ガウが寝転がって、カメラ目線と同じになって見ている。

 他の場所には桟橋はなく、紅葉した落ち葉の絨毯が出来る様な場所は此処にしかない。


「他の場所も見回ってきたけどさ、何にもないよ~」

「近場を見て来たんだけどね、全然それっぽい感じの子は居なかったよ」

「どういう事なんだろう」


 目線が地面近くって事は人じゃあないのだろうとは簡単に想像が出来る。

 ただ、見ているのが誰も居ない桟橋なんだよな。


 コレもコレで意味があったりするのだろうか、人影の桟橋を見ている動物、か。


〈ねぇ、一回エーコーさんの泉まで戻ってから、歩いてこっちに来ませんか〉


「ん? どういう事でござる?」


〈この辺まで来たら、アズミルやティフォのテイムモンスターで探してみましょう〉


 とりあえず転移でエーコーさんの泉まで戻って、ガウにおんぶしてもらって戻ってくると、二人が僕の考えた通りに探し始めてくれていた。


「お、本当に居たぞ⁉」

「凄い凄い! 二又猫だよ。初めて見る⁉」


 アズミルが興奮しながら、その場所に何が居たかを教えてくれる。




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