【オンライン】256話:ハロウィンイベント(5)
ニンフィが居ないから僕がいくら走ったとしても、ガウが少し早く歩くのと大差ない。
そのせいで着ぐるみを着たガウに肩車してもらって連れて来られてしまった。
「そんな顔を覆って恥ずかしがっても遅いと思うんだ。仕方ないって、コレが一番早かったんだからさ、どんまいだよ」
〈お願い、今はそっとしておいて〉
物凄く恥ずかしかった、道行く人に微笑ましく見られてたし。
子供達には指さして、羨ましがられた。ガウも調子に乗って最小限の動きで子供達に手を振って去っていくもんだから、更に注目度が増したのだ。プレイヤーの皆さんも同じような反応であった。
「ずっと待たせるわけにもいかないんだな」
「えっと、ほら向こうさんも戸惑ってるから、早くアイテムを渡してあげよう」
ミカさんが僕の頭を優しく撫でながら言う。
〈そんな子供を宥めるように言わないでください、更に僕がダメージを追うだけなんで〉
「ご、ごめんなさい」
涙目になりながらも、僕はインベントリを開いてひび割れたペンダントを渡した。
「えっと、コレは?」
修道院のお姉さんは戸惑いながらもペンダントを受け取ってくれる。
その後の流れはやはり他と同様で、彼女に関連する大切な物らしかった。
お姉さんがくれたモノは、歯車というよりも三角形の小さなタイルっぽいモノだった。
「歯車じゃあないんだね」
アズミルが興味深そうに眺めながらも、お姉さんから貰ったタイルを手渡してくれる。
箱の全体を見て確認すると、そのタイルを嵌め込める窪みがあった。
〈でも原理は同じみたい〉
他が動けばカチカチと回って、鍵穴が出来る。
「もうさ、鍵が入るんじゃないの?」
ミカさんの言う通り、鍵穴はもうしっかりと見えている。
〈鍵穴はピッタリみたいだけど……回らないです〉
「それじゃあ残りのも見つけないとダメって事だな」
「残りは二つでござるな。名前の削れたドックタグ」
「もう一つはヘンテコな像だよ。しかもコレに関しては場所も良く解らないしね」
シュネー二枚の写真を腕組みして、必死に思い出そうとしている。
「洞窟だからヴォルマインに行けば解るんじゃないの?」
「それなんだけどね~、どうもそういう風景はないのよ。知り合いに写真を送って確認して貰ったんだけど……どうも、ヴォルマインじゃあないみたいよ」
「俺も、この前のイベントで仲良くなった騎士さんに確認してもらったけどな。ミカさん所と同じで、こういった場所はないってさ」
とすると、コレは何処を撮った写真なんだろう。
〈洞窟って他には無いの?〉
「あるとすればジャンシーズかグランスコートより先に進んだ森を逸れた場所にある鉱山ね。写真を見る限りだと海底洞窟への道とは違うから、省くとして。グランスコート先の鉱山が一番可能性が高いんじゃないかしら」
少し遠い場所になるね。
〈結構離れた位置って事は、コレってやっぱり森の先にあった次の街って事かな〉
「あ~、あそこの入り口って確かに橋だったな」
「中央都市とは違って、季節は秋に統一されている感じだったんだな」
「この二つは少しだけ面倒そうね」
「まぁ、向かって見ましょうよ。今回はスノーちゃんが居るから何かと楽そうだし」
アズミルが意味深な事を言うと、それについて何か思い当たる事があるのか。
ミカさんが「なるほど、確かに」と頷いて答えていた。
〈ん? どういうこと?〉
アズミルとミカさんだけが分かった感じで、他のメンバーも僕と同じく解らない様子だ。
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