【オンライン】255話:ハロウィンイベント(4)




 くすんだ水晶は二班に分かれて、それっぽい家を探した。


 見つけてくれたのはシュネーで、小さな体で色々な所を飛び回り、近付きにくい様な場所でもスイスイと進み家の窓をヒョコッと覗き込む事が出来たからこそ、見つけられた。


 ジャンシーズ側、中央都市の南街。

 街外れの隅にひっそりと小さな一軒家があった。じっくりと歩き回っていないと見つけにくい小道に、公園の広場から抜けた先の小高い丘の上にある。


 近くに住んでいる人達からは占い師の館と呼ばれている。


「ごめんくださ~い、誰か居ませんか?」


 その家に住んでいたのはお婆ちゃんと若い女性の二人だけであった。


「はいよ、どちらさんだい?」


「今日は占いの予定も診察の話も無かった気がしたけど? 飛び込みのお客さんかしら」


 ちなみに、近所の子供達からは魔女の館として親しまれている。


 病気の時にお世話になったりしたそうだ。


〈この水晶に見覚えはありませんか?〉


「知り合いに頼まれて探していたんだな。多分、こちらで間違いないと思うのでござるが」


 インベントリから水晶を取り出して、お姉さんに手渡す。


「お婆ちゃん、見覚えはあるかしら」

「どれどれ……おぉ、こりゃあアタシの師匠が持っとった水晶に似てるね」


 どうやら正解みたいだ。お婆ちゃんが手の中で水晶を転がす様に見ていると、過去に失敗して傷をつけた部分がそのままだと言う。


 信じてもらえるかは解らなかったが、このアイテムを預かった相手は幽霊だと教えた。


「そうかい、有難うね。そういえばもうそんな時期だったかねぇ」


 お婆ちゃんは水晶を家の中へと持って行って、何やら奥の方でゴソゴソと物音を立てて何かを持ってきてくれた。


「コレを持っていきなさい。きっとアンタ等には必要になるモノだろうからね」


〈ありがとうございます〉


 渡されたのは小さい歯車だった。


「ふふ、お婆ちゃんの占いって凄いのよ。私には良く解んないモノでも、本当にその人には必要なモノが分かったり、無くし物を見つけたりね。未来視っぽい事も出来ちゃうんだから」


 自慢げにお姉さんが話しだした。ちなみに、このお姉さんがお婆ちゃんのお弟子さんらしく、薬の調合やら診察をして、占いも習っているらしい。


「なにかあったらまたお出でなさいな。アンタ等なら何時でも歓迎してあげるからね」


 お婆ちゃんが優しく微笑んで送り出してくれる。

 貰った歯車をカチッと箱に嵌め込む。


「二つ目でござるな」


 少しだけ箱を弄ると、カチカチと二回周り、少しだけ鍵穴っぽい場所が出来たきた。


「仕掛け箱ってヤツかな?」


〈そうだね、もう少し歯車が無いとしっかりとした鍵穴が出てこないんだと思うよ〉


 僕等の方は一つゲットという事で、ティフォにメールを送る。


「合流する前に終わらしてしまったでござるが、向こうは何処に居るんだな?」

「見つけたって連絡してから、ちょっと時間経ってるもんね。何してるんだろう」


〈まぁ、この場所は分かりにくいからしょうがないと思うよ〉


 シュネーが見つけられなかったら僕等もスルーしていたかもしれない。近所の子供達やこの辺に遊びに来ている人の話を聞いてやっと分かるような場所だったからね。


 あまり移動せずにティフォ達を待っていると、ピロンっとメールが返ってきた。


「お、ティフォナ妃からでござるか?」


〈うん……なんか、もう一つのアイテムの場所を見つけたみたい。教会近くの場所にひび割れたペンダントの持ち主だってさ〉


「それじゃあ後はドックタグと小さい像だね」


 僕等が水晶の場所を見つけて、先に突撃して行ったから、別のアイテムの場所を探したのかな、それにしてもよく分かったな。殆ど空しか映ってないような写真だったのに。


「どの辺でござるか?」


〈此処から、道沿いに沿っていった教会だって〉


「つまり、ティフォっち等は通り過ぎて、先の方の教会に行きついたんだね」


 シュネーが少し呆れ気味に笑いながらあ言う。


 公園の小道を抜けないと、あの占いの館には辿り着けないから見逃しちゃったんだろう。


「それじゃあ拙者達も向かうんだな」


〈そうだね、早くペンダントを届けてあげよう〉


「こんな事なら別々にアイテムを持っておけば良かったね」


 確かに預けておけば早かったかもしれないね。




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