【オンライン】252話:ハロウィンイベント(1)
「一つのアイテムに写真が一枚として……先ずは分かり易い写真の場所に行ってみましょうよ。誰かこの中の写真んで心当たりがある人は居ない?」
一枚一枚、皆で回しながら確認していくけれど、アングルが独特でさっぱり解らない。
「もう何処なのよコレは、こんな場所ってあった?」
ミカさんが髪をクシャクシャにしながら騒ぎ出した。
「何か覚えやすいモノが映っていれば一発なのにね、人なんて疎らだし、特徴的なモノが全然映ってないじゃないの」
お手上げという感じでアズミルも同じく考える事を投げ出してしまっている。
他の面々も同じような感じで、じーっと写真と睨めっこをしていたり、角度を変えて見ようとクルクルと写真を回して見たりしている。
僕も同じ気持ちだ、だってこの写真には持ち主と思われる幽霊が映っている訳でも無ければ、何かを捉えて写真に収めた感じには見えないんだから。
普通は絵を描くにしても、写真を撮るにしても被写体があってそれを収める様にして撮るのが普通だろう。この写真には一枚も何かを捉えて映したモノじゃない。
どちらかといえば、風景を気まぐれに残した様な一枚だ。
撮った位置もバラバラで、地面に近かったり……背の高い位置から写したり。
――統一感なんて無いし、バラバラなモノしかない。
この写真はまるで……違う人が其々に映したみたいだ。
〈……この写真って変だよね〉
「はぁ? 何が変なのよ」
ミカさんが不機嫌そうに僕の方を見てきた。
「ちょっと、なにも思いつかないからってボクのスノーに当たるの禁止!」
「う、ごめんなさい。色々と見て来た筈なのに一つも思い当たらなくてイライラしてた」
シュネーに怒られてミカさんは小さくなりながら、すぐに謝ってくれる。
〈ふふ、大丈夫ですよ〉
「うぅ~、ありがとうスノーちゃん」
「フシャ~‼ スノー癒し成分は簡単には手に入らないの! シッシッ」
謎解きが本当に苦手なんだね。精神的に参っていたのか僕に癒して貰おうとしてか、擦り寄って来たのだがシュネーによって阻止されていた。
「いいじゃんか~、いっつもシュネーちゃんだけズルい~」
「ボクのは特権だから良いのだよ」
そんなじゃれ合いをしている二人を他所にして、僕の元にティフォやガウ達が集まる。
「それで、何が変だと思ったんだ」
〈うん、この写真ってもしかしたらね、このアイテムの持ち主の視点なのかもって思って〉
――くすんだ水晶。
コレは一部屋の薄暗い部屋の一画が映っているが、机が近く、座っている人がその場で写真を撮った様な目線で写されている。そして部屋の隅には、古びた丸い机が置かれていた。
――錆びた短剣。
辺りが暗くなっていて道には人の列が出来ているだけの写真。それを門番の様に眺めたとしたら、この写真の構図で一枚の写真が取れるんじゃあないだろうか。そして、この一枚は門番であると仮定すると、もうすぐ門が閉じる時間で、最後に駆け込んできた旅人達という感じで見る事が出来る。
――折れた宝剣。
誰もいないだだっ広い庭の一画、ただし少しだけピンボケをしている。
この場所に一人立っているとして、何をしているのか……剣を振っているんじゃないかと仮定して、その一瞬を一人称視点で写したら、こんな感じに少し動きがあってボケる感じで写真が取れるんじゃあないかと思う。
――欠けたコイン。
石畳の道で色々な人が行きかっている場所を、お店の階段付近に座って眺めた様な写真。
――ひび割れたペンダント。
夕暮れ時、背の小さい子供か、または跪いた人が空を見上げて撮った一枚。
――名前の削れたドックタグ。
洞窟へと続く道を撮った一枚。
――小さな謎の石像。
地面スレスレの動物から見た景色を映した様な写真。場所は枯れ葉の道と人が二人立っている。道というよりは、橋だろう。
「そう言われて考えてみると、確かに見えるな」
「NPCには決まった時間、決まった場所に必ず居るキャラが居るのよ……もしかしたら、この写真はその人達の見てる景色を撮ったモノってことかしら」
「ある程度は、搾れるって事ね」
「それじゃあ、時間まで分かり易いのはコインと短剣にペンダントだね」
シュネーが少し得意げに言うが、一つ抜けている。
〈水晶もだよ〉
「え? なんで?」
〈基本的にこの世界は電気はないから、薄暗くってもロウソクの火だけじゃあこんなに明るくならないよ。多分、朝なのにカーテンか何かで部屋を暗くしてる場所。でも日当たりの良い様な立地が良い場所に建てられた家にいるんじゃないかな〉
僕がそう言うと、なんか皆が様々な反応で見てくる。
とりあえず無視するとして、コレで何とか場所やある程度の特定は出来そうだ。
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