【オンライン】240話:ハロウィンの準備(5)




 サーカス団の大きなテントが設置される予定地として、進入禁止エリアが指定された。


 かなり広い範囲がサーカスエリアとして使われるみたい。

 テント外には広場の様な場所も設けられているようだ。そこにはサーカス団が出店みたいな感じで、ミニゲームを楽しめる店まであるらしい。


 この特典は購入してから確認できるようになった。ただ、何が売られるのか、どういうミニゲームがあるのかは解らない。


 雰囲気的には纏当てや、型抜きみたいな遊びだと思う。


「一通りの報告は終わったけどさ、ボク等は何かやらないの?」

「何言ってんだ、やることは沢山あるぞ。先ずはコードギアを開いてみ」


 今はシュネーが主体だから、コードギアも彼女が所持している事になる。シュネーの肩に座って、ニンフィは帽子みたいに頭に乗り一緒になってコードギアから宙に映し出されるモニターを覗き込む。


「時計の枠組みをカチカチって右やら左に回すと、画面が切り替わるだろう」


「う~んと、こうかな?」


 ティフォに言われるままに、カチカチと枠を回転させると本当に画面が切り替わっていく。


 初めは時間や体力バーだった物が、地図になったり、人の名前がびっしり書かれて一覧だったりと、色々と切り替わっていく。


「スノーも覚えとけよ、コレはリアルでも活用できるヤツだからな」


 携帯電話やPCと連動していて、ゲームをしていない時でもこの場所を色々と弄れるようになっている。弄れると言っても、看板指示みたいなモノで、住人達に、牧場の手伝いをして欲しいとか、今はこの場所の使用を禁止するなどが出来たりする。


〈なるほどね。試しに、この範囲から一定間隔で出店を設置するスペースを決めていこうよ。実際にはどういう感じに見えるかっていうのも重要そうだし〉


「えっと~、ここをタッチして、こんな感じで良い?」


 シュネーが鳴れない操作で、しどろもどろになりながらも一つ一つ、出店の場所を指定して一定間隔を開けながら、綺麗に並べていく。


 お祭りの屋台通りみたいに並んでいき、サーカステントまでの道が出来てきた。


「おぉ~、凄く良い感じになったんじゃない。お店の設置場所が分かるだけで道っぽく見えて、どんな感じになるか想像し易くなるね」


「コレなら迷わずに鬼の集落も分かり易い?」


「そうね~……でも、もうちょっと道幅は広くした方が良いんじゃない? 狭すぎると、人が密集し過ぎちゃって、人通りが詰まっちゃう気がする」


 なるほど、確かにサクラちゃんの言う通りかもしれない。


〈シュネー、もう少し広めに作れる?〉


「ちょっと待って……これ~じゃない、こっちかな?」


 一度指定した範囲を押しながら囲う様にスライドしていくと、纏めて移動が出来る様になった。それを徐々に下へと引っ張る感じで動かしていくと、目の前に見えていた範囲も一緒になって動いていっているのが分かる。


「こんなもんかな? コードギアで見ると縮小されてるからさ、こっちで見ると十分な広さはあると思ってたんだけど、意外と狭かったんだね」


 馬車や車が二台ずつは通れるんじゃないかって程に、大きな通りになった。


「ふむ、コレならサーカス団がパレードみたいな事をしても見る人と、通り抜け出来る道の確保は容易に出来そうなんだな」


〈鬼さん達も、体が大きいしね。これくらいは広くないとダメだよね〉


 もしかしたら、グランスコートと鬼の集落を行き来するかもしれない。


〈サーカス通りは、古参の人達と新規の出店をしてる人達が上手く配置してくれるかな〉


「多分、大丈夫なんだな。お祭りって事もあって。村人達も何かお菓子を作って売り出すという報告が来てるでござるから、出店場所は多い方が良いんだな」


 カミルさんやフー先輩が鬼達にも、何かしら作って売り出させるくらいはさせるだろうし、鬼の集落側にも同じように出店を並べて、道を作っておいた方が良いだろう。


〈シュネー、鬼の集落側のお店は間隔を開けなくて良いから、少し広めの出店にしてあげてね。人間サイズだと小さすぎる可能性があるから〉


「オーケー、任せてよ。もうやり方はマスターしたもんね」

「道の幅も、少し広めにしとく?」


「鬼達が多く出入りするかもしれないからね。ムーンの場所からアタシの場所位までは欲しいんじゃないかな」


「それじゃあ、私は上から見てみようか、並び方や道が不格好だとね」


 ニンフィに頼んで、スズメちゃんを上に運んでもらい上からの視点で、道幅の微調整をしつつ出店の間隔と広さを其々に決めていく。





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