【オンライン】224話:恋のライバル認定(2)
「それで先輩は何をメイン職にする気なんだ?」
「さぁ、そこまでは聞いてないんだな。でも戦闘職はやらない気がするんだな」
ガウのお姉さんは確か……ゲームが下手だった覚えがある。
単に機械音痴っていうか、手やら体がゲームと一緒に動いてしまう感じだった。
ちょこちょこと動く姿を見ているだけなら可愛らしく、無駄に威力のある胸にティフォの視線が釘付けになっていたのを、何度か見たことがある。
リアクションが面白いから一緒にプレイしていてもストレスにはならないし、同じミスはそんなに繰り返さない人だ。なんでそうなるって言いたくなるプレイはする人だと良くティフォが呟いていた。
「迎えに行くの?」
シュネーが何となく聞いたのだが、どうもガウは躊躇している様子でいる。同じように聞かれない様にするためか、ティフォもそっと顔を逸らす。
〈迎えに行ってあげようよ〉
エーコーさんの泉である此処には、一度でもこの場所に来て、祠から生み出される転移クリスタルの欠片を入手するか、クリスタル事態に触れて登録しないと転移が出来ない。
「致し方なしなんだな。行こうか、ティフォナ妃よ」
「なんで俺まで行かなきゃならないんだ?」
此処に居る女子が全員(僕以外)、ティフォを一瞬だけ半目で見た。
「見た目は可愛いのに、心は解らない?」
「ああいう男に引っ掛かると大変よね」
双子ちゃん達がボソボソと呟く様に言う。
「スノーはあんなのになっちゃダメだからね」
〈……僕に言わないでよ〉
何でか知らないけど、飛び火が僕の方に来たよ。
「スノー先輩の場合はもっと絡んでくれると嬉しいんだけどな~」
「そうそう、スキンシップは大事だよ」
「ぴとっとくっつけるでしょう、私達は女の子同士?」
「こら~、どさくさ紛れにスノーにくっつくな~」
皆が僕にくっついて団子状になる。
三人が揉みくちゃになっている間に僕等は脱出して、エーコーさん達の近くまで飛ぶ。
「お主らな、何で此処に集まっとるんじゃ? 自分の家があるじゃろうに」
呆れた顔をしながらエーコーさんが言う。
「あ~、まぁそうなんだけどね。今はこっちの方が落ち着くの」
僕とシュネーはチラッと顔を合わせて答えると、エーコーさんが首を傾げた。
〈なんと言うか、見晴らしの良い場所にホームがあるから、何かと村の人やらプレイヤーさん達に見られるんだよね〉
後はウサギさん達と仲良くなりたい人達が、かなり近く……と言うか、隣の泉に女子プレイヤーさん達が良く来る様になったのだ。
泉はウサギさん達の休憩場にもなっているから、ころころと寝ころんでいる姿に癒されるんだそうだ。ちなみに男性のプレイヤーは逆にあんまり近付かないみたい。
「ふむ、ならばツリーハウスの使用権を許可してやろうかのう。あそこならば上手く視線を遮る様に葉が隠してくれるじゃろう。それと、此処への転移も繋いでおく、何時でも来ると良いぞ。ちゃんとニンフィも連れてくるのじゃぞ」
僕がニンフィに乗っているからか、エーコーさんは撫でるだけで留めているけど、実際には今すぐにでも抱っこしたい様子だった。
〈エーコーさん? なぜに僕までそんなに撫でてるんですか?〉
「なに、気にするな」
段々とエーコーさんが近付いてきている気がする。
「は~い、それ以上のお触りは禁止ですよ~」
ヒョイっとシュネーが僕とニンフィ―を抱き抱えた。
聞き間違えかと思ったけど、微かにエーコーさんが舌打ちをした気がする。
「ほれ、繋いでやったぞ。さっさと行ってこい」
パチンと指をならし、魔法陣が部屋の隅っこに出現した。
ボウガさんとトワちゃんは何時の間にやら、三姉妹の人達と対局を始めている。
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