【オンライン】225話:恋のライバル認定(3)
〈シュネー? なんで放してくれないのかな?〉
ニンフィもなんか脱力して気持ちよさそうに抱っこされている。
「ん~なんか癖になるんだよね」
きっとエーコーさんが常にニンフィを抱いていたのも、そう言う事なんだろう。
「別にスノー先輩は放してあげても良いのんじゃないの?」
「……私も抱きたい」
「ムーンは欲望が前面に出すぎだよ。でもアタシも抱っこしたい」
皆の目がなんか怖い。
女子四人がお互いに牽制している間に、そっとティフォの元まで飛んでいく。
「なんでこっちに来るんだよ」
〈今は此処が安全な気がしたからかな?〉
面倒そうにしながらも、それ以上は何も言わずに僕を頭の上に乗せてくれる。
ただ何故か、ガウはティフォの肩を軽めにポンポンと叩いて首を振る。
「何だよ?」
「はぁ、気を付けるんだな。自ら危険地帯に足を踏み入れるのは命取りになるんだな」
意味が解らないと眉をひそめるが、ガウは憐みの顔でため息を吐くだけだった。
〈それにしても、意外にも広いね〉
「広すぎる気がするけどな」
「多分、外から見えているツリーハウスよりも広いでござるよ」
周りから見えているのは小屋みたい感じだけれど、実際には二階建てのリビング付き、部屋の数もぱっと見た感じだと、扉は5つある。
「ほれ、こんな所で立ち止まっとらんで、あの奥まった通路へ行くぞ」
全員が転移してきた後に、エーコーさんも一緒に来ていた。
「あれ? なんでエーコーさんもこっちに来てるの?」
「当たり前じゃろう。此処へ連れて来たのはグランスコートの村に飛ばすためじゃあないからのう。中央都市への道を繋ぎに来たんじゃぞ」
村に帰るだけなら、転移陣を使えば良いだけだもんね。
「まぁ、運べるのは人だけじゃから、大きな荷物なんかは弾かれるから気を付けるのじゃぞ」
一定の許容量を超える場合、この場所の転移は使えないという事らしい。
転移陣も同じく、荷重量の制限がある。それを超える物資の運び込みは出来ない。
もう一つ条件があり、無機物のみでは転移陣は発動しない、というのもある。
初めはコレで物資の運び込みをやれば良いと思ったけど、そう上手くはいなかった。
「コイツじゃな、コレで中央都市へ飛べるぞ。転移場所はカミルの働いとる職場に繋がっとるらしい。スノーが居るからな、問題なく通して貰えるじゃろう。門番に我との証を見せてやれば今後の行き来が可能になるはずじゃ」
この場所も、此処からの転移も僕が居ないと簡単には使えないという事らしい。
「さっさと用事を済ませて戻って来るのだぞ。ティフォを最初に倒すのは我だからな」
〈エーコーさん、この場所を解禁したのって。早くティフォと勝負したいからですか?〉
当たり前な事を聞くなという感じで鼻で笑って、胸を張られてしまった。
「俺はしばらく、将棋も囲碁も遠慮したいんだけどな」
「エーコー姫に一つだけ良い事を教えてあげるでござる。ティフォよりもスノー姫の方が遥かに強いでござるぞ」
ガウが茶化すように言う。
――コイツ余計な事を言いやがった!
エーコーさんは意外だという顔をした後、次の獲物は僕だという感じでニヤニヤと見てくる。ティフォも僕を巻き込めて満足だという顔で見てくる。
〈さぁ、皆、早く行こう〉
これ以上、此処に居たらエーコーさんに何を言われるか分かったもんじゃない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます