【オンライン】閑話:他国の状況と動き。




【ジャンシーズ:海底都市前】


「だぁ~、やっぱり強いな」


「それより、倒さずに負けを認めさせって方がキツイんすけどね」


「しょうがねぇだろう。これ以上の敵対は避けたいんだからな。何とか俺達の事を認めて貰うしかないだろう」


「リーダー、自分が此処に居ても役に立たないと思うんだけど」


「アンタが居ないと仮拠点とかの材料を誰が運ぶのよ。それにファーマーでも色々と出来る事があるって聞くわよ。グランスコートのファーマーなんてイベントではトラップ作って前線に出て戦ってたらしいわよ」


「そんな凄い人と比べられても」

「ちなみに、主よりも幼い子だったな」

「え? 嘘でしょう。揶揄わないでよ」


「いいや、マジだ。そして可愛らしい女の子だったぞ」


「おい、なに無駄話してんだ。それよりもどうやって海底都市の奴等と仲良くなれるかを考えろよ。グランスコートの新人共に負けてられっかよ」


「あらな~に、アンタってばグランスコートのファーマーちゃんの事が気になるの?」


「なっ⁉ そ、そんなんじゃねよババア!」


「誰がおばさんですって!」


「はぁ、全く。でも色々とお前も考えてみろ。ケリアも言ってたろう、自分で色々と楽しんでみろと、何時までも荷物持ちだけではつまらんだろう」


「……はい、自分に出来ること……ですか」




【フォレストヒル:一時休戦の旗本】



「ちょっと、どうしてくれるのよ。そっちが戦争なんか仕掛けてくるからイベントどころか、都市国家との交流まで無くなっちゃったのよ」


「それはコチラのセリフですね。先にちょっかいを出して来たのはそっちです」

「ハイハイ! 会って早々に喧嘩をおっぱじめないでください」


「今は忌々しき事態です。次のイベントまでには都市国家との接触くらいはしておかないと、周りに置いて行かれますよ。最後に発展し始めたグランスコートのファーマーに出し抜かれているんですからね。分かってますか御二人さん」


「うぐっ! 分かってるっての。だからこうして休戦を提案したんじゃない」

「えっと、先ずは【プネブマ】がどの辺りにあるかを突き止めないといけないんだよね」

「元から協力してくれていれば、こんな事にはならなかったと思いますけど」


「お互いに苦労しますね。今回ばかりは、いがみ合っていてもお互いに良い事がありませんからね。まぁ、元から止めていればフォレストヒルから離れる人達をもう少し留められたと思いますが、それを今更に行っても始まりませんし。コレからお二人に挽回して貰わないとならないんですから、頑張りましょう」


「ねぇ、物凄くやりずらいんだけどさ⁉」

「そんなに遠まわしに責めなくても良くないかな!」

「おや、自覚があるんですね?」


「意外です、そう言った事には気付かないと思っていました」

「ねぇ、アタシが此処に居る意味ってあるの?」


「申し訳ありません。出来る限りで良いので情報が欲しいんですよ。その代わりの報酬はきちんとご用意しますから」


「欲しがっていた錬金アイテムから合成アイテムの材料まで、あちらに用意してあります」


「…………コレが終わったら、グランスコートに引っ越すからね」


「ちょっと私達を裏切る!」

「そうだそうだ! フォレストヒルの方が良いモノが多いよ!」

「遠慮ね。条件はそれだけで良いから、アイテムは別に要らない」


「はぁ、アイテムには釣られませんでしたか」

「痛い人材の損失ですね」


「そ、そんな目でこっちを見ないでよ」

「うぅ~、今回は本当に悪いと思ってるってば。ごめんなさい~」




【ヴォルマイン:職人の洞窟】


「アニキ、珍しく出かけるんですかい?」


「……今回ばかりは俺様が動いた方が良いだろう。温いやり方は無しだ。敵対した以上は全力で叩き潰す。強い奴と戦えるんだ、最高だろう」


「はぁ、相変わらずの戦闘狂だね。お願いだからあんまりトラブルを持ち込まないでよ。ウチは最高の武器を作りたいだけなんだから」


「今度の作品は納得のいくもんが出来たのかよ?」


「まぁイイ感じだよ。属性変化の能力付き双剣だけど使うかい?」


「良いじゃんか、俺様との相性も良さそうだし。サクッと都市国家とやらに俺様達の実力を見せつけてやれば、制圧も容易いだろう」


「アニキ……頼むから仲間を叩き切らないで下さいよ」


「あぁ? 弱い奴が俺の前に立ったのがいけねぇんだ。他の奴等にも伝えとけよ、グランスコートには手出し厳禁だ。あそこは俺様の獲物だからな。仲良くするなら構わねぇけどな、ゴッズのヤツにもちゃんと見内の手綱はしっかり握っとけって言っとけよ」


「知り合いかい?」


「まぁ、リアルのダチだな。気に食わねぇ腐れ縁のデブも居るがな」

「ふ~ん、それはちょっと興味が出て来たね」


「……お前と気が合いそうなヤツも、居るかもしれねぇな。――――ればな」


「最後の方が聞き取れなかったんだけど?」


「気にすんな、ば~か。俺はもう行くぜ、付いてきたい奴はしっかり付いて来いよ!」


「先輩、自分は何処までも着いてきますよ!」

「やっぽ~い、久しぶりの戦だ~」

「行くぞ野郎ども!」



「……先生、良いんすか?」

「何がだい?」


「いや、アイツに好き勝手させて。ファーマーは先生ですよ?」

「彼はハチャメチャに見えても筋は通すさ。理不尽な弱い者いじめはしないよ」


「まぁ、それはそうっすけど」


「それに、彼が居る事でPKプレイヤーも大人しくしているだろう」


「確かにそうっすね……それよか、先生はもうちょっと冒険にも力を入れて下さいよ。引きこもり過ぎて今じゃあ街の人達にもレア人物扱いされてますよ」


「ふむ、それも一興だね」




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