【オンライン】212話:新たなトラップと連携の試行錯誤(5)
ケリアさんには少し道から外れながら、エーコーさんの泉まで向かうと連絡しておいた。道中ではガウを含めた連携や、足止め系のトラップを駆使した戦い方を試しながら進む。
トラップの場合は、高威力のスズメちゃんとムーンちゃんの連射で敵の体力がほぼ一瞬で溶けていく。残ったとしてもガウが軽く攻撃を受け止めて、サクラちゃんが器用に止めを刺してくれるので、無傷で倒せてしまう。
「この辺の敵も余裕で倒せるでござるな」
「遠くから攻撃出来るだけで、結構変わるんだね」
「でも、集団戦はまだ無理かも?」
「そうだね。慣れてないせいでリロードに時間が掛かるし、一度でも失敗しちゃうと警戒して回避されやすくなるんだよね。注意を他に逸らしてくれれば問題はないんだけど」
サクラちゃんは良く周りを見ながら戦っているようだ。最初に間違えてムーンちゃんがダメージを入れてしまうと、注意が狙撃組の方に向いてしまい、何度か躱されてしまった。
その間に近付かれて、危なくスズメちゃんが瀕死状態になりかけてしまったのだ。
「このメンバーだとタンクの位置も見直しが必要でござるな。狙い易く出来るように動かなくては、回避タンクとしてはまだまだ未熟なんだな」
ガウが何度か二人の射線上に入ってしまい攻撃のタイミングが無くなってしまった事もある。
この辺はティフォが居ればフォローしてくれたと思うけれど、出来るなら、ガウが気に掛けて動ける方が良いに決まっている。
常に全員を把握しながら戦える訳でもないのだろうしね。
少しパーティーの構成が変わっただけで、色々と違ってくるモノなんだな。
テイマーのティフォだって中間距離で戦っていたのに、ガウの動きは全く別モノだった。
「スノー、そろそろモンスターでアイテム容量一杯になっちゃうよ」
〈あ~そっか、荷馬車は村に置いてきちゃったもんね〉
馬達も預けたまま出てきてしまった。
「もうそろそろ着くの?」
ムーンちゃんが弾を込めながら聞いてくる。
シリンダーに入れ終わるとカチャっと良い音をさせてホルスターにしまう姿は様になっていた。
「そうよ~、もう目と鼻の先ね」
ひょっこりと木の後ろからか顔を出して僕等に手を振って走って来た。
「ケリアっち、目的のアイテムは見つかったの?」
「見つけたわ~、ちょ~っと面倒な位置にあったけど、何とか手に入れたの」
淡い青色の花と、サクラみたいな色合いをした花を大風呂敷一杯に持っている。
アクティブなモンスターと戦闘でもしたような汚れもチラホラと見て取れる。
「綺麗ですね、コレを使うんですか?」
「えぇそうよ、イイ感じに染まるかはまだ分からないけどね。納得のいく反物が出来たら是非とも貴女達に着て貰いたいのよ。モデル料として、出来た服はそのままあげるわよ」
ケリアさんが片目を瞑ってウィンクを飛ばす。
悪い話じゃあないでしょうという感じで皆を勧誘し始めた。
〈僕はえん――〉
最後まで言えず、途中で三人が割って入って来た。
「ぜひお願いします!」
「新しい装備って興味津々?」
「皆で一緒に着てスクショしようね」
そのメンバーに僕を混ぜないでほしいんだけど、そう言える空気ではなくなった。
「シュネーちゃんの衣装も作れるわよ」
「えっ! 本当に⁉」
「嘘は言わないわよ。趣味で人形の服とかも作ってたんだから任せなさい」
あぁ~外堀が段々に埋まっていく。
「お揃いのを着て写真撮ろうねスノー」
〈あ~、うん。そうだね〉
シュネー……基、リアルでは琥珀と一緒に揃って写真何て取れないし、お揃いの服を着る事も出来ないんだから、こういう時くらいはお願いを聞いてあげよう。
せめてケリアさんには男の子っぽい衣装して欲しいと頼むしか、なさそうだな。
そんな事をお喋りしながら、何時の間にやらエーコーさんの泉に辿り着いていた。
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