【オンライン】202話:新しい開拓地(1)
後々の怨みは怖いが、ティフォを生贄に捧げて自由を得た僕等はというと。
村と森の中間辺りに出来たという鬼の集落に向かう事にした。
「あぁ~、後でどんな仕返しをされるのでござろうな」
「そんなに怖いなら一緒に居てあげれば良かったじゃん」
〈今の木工所はボウガさんに弟子入りした人や、越して来た木工職人さん達が居るからね……連れて行かれたら最後だよ。皆に全ての道具を事細かに聞かれて、遊び方もそこで永遠と教えて相手をしなくちゃあいけなくなるよ〉
それを聞いてガウの顔色がすぐに変わる。
「よし、早く見に行こう。ティフォナ妃の事だから拙者達に追っ手を放っていても不思議ではないでござるよ。速攻で此処を離れた方が良いんだな」
森の方へ続く道はまだまだ作り途中で、一体のゴーレムが黙々と作業をしてくれている。進行度はグランスコートから出てすぐにゴーレムが作業している姿が見える。
そして前は無かった道がある。
二股に分かれていて、左の真っすぐ伸びる道が森へ続いている。右に曲がっている意味が新しく出来たという鬼達の集落へと伸びている。
集落方だが、鉱山へ行く途中でもあり森へ行く途中からでも見える位置でもある。グランスコートと合わせて考えると鉱山・森・村三つの中心部分に鬼達の集落が出来たのだ。
「こっちの道が完成すれば、鉱山への行き来もかなり楽になるんだな」
「鉱山の方って何か問題があるの?」
〈僕等は行った事ないもんね〉
シュネーと僕、それにティフォはまだ森までしか探検していない。
「鉱山付近のモンスターは半分くらいアクティブターゲットで、下手に近付くとすぐに絡んで来るんでござるよ。気性も荒くゴーレムや岩ワニと、物理攻撃が通りにくい魔物ばかり、下手に魔法を使うとコウモリの大群が襲ってくる始末なんだな」
だからヴォルマインの鉱山区が人気になったらしい。あちら側は厄介なモンスターなんて居ないし、採掘も安全に出来る為にグランスコート側の鉱山には人は余り来ないそうだ。
場所も遠いし、道中の道が悪いのは勿論、モンスターも多いし襲ってくる。
下手に採掘し過ぎると帰りに重くてまともに動けなくなると言う。
「鬼達も随分と数が減ったんだよね?」
「そうでござるな、知性の無い雑兵は殲滅したでござる。本拠地だった場所も水攻めで雑兵から倒されていったんだな」
アレは殆ど不可抗力だった気がするけどね。
ニンフィに乗りながら進んでいるのだが、ガウは軽々とついて来ている。
〈なぁガウはさ、そんなスピードで走って疲れないの?〉
「これくらいの速度は何時もの事でござるな。一人でプレイしてる時は大体これより少し早く走っているんだな」
「普通は痩せるでしょう。やっぱり作った体型だから痩せないんだね」
ゲームだからで納得してしまうが、やっぱり皆が言う通りだ。こうして間近で見ると本当にアンバランスで違和感しかない。
「はは、皆に言われるでござるな~。お、見えてきたんだな」
集落には少し大きめの家が立ち並ぶ……あの巨体が入れるようなスペースがない。
まだ外敵から守る為の壁すらないが、僕が想像していた感じの集落ではない事は確かだ。
〈ボスは居ないのかな?〉
「そんなはずはないでござるよ……でも、確かに巨大な家はないんだな」
「あの巨体だよ~、座ってても分かりそうなのに居ないじゃん」
集落について辺りを見回しても、小さくて人で言えば二メートルくらいの鬼達しか居ない。それ以上だと三メートルくらいだろう。いや、それでも大きいんだけどね。
「む、リーダーではないか。ヨクゾおいで下さった」
その三メートルちかい鬼が僕等の方に駆け寄って来た。
マップを確認すると、目の前に迫っている鬼には名前が付いている。
僕等が付けた【ズナミ】と言う名前がしっかり見える。
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