【オンライン】201話:娯楽に飢えた住民達(1)
溜池をゴーレム達や魔法が使える人達に手伝ってもらい半日もせずに完成した。
そこにイーゴさんとパニアが共同で作ったコクレアとツフトゥラの住処となる場所を設置して、カプセルをその場所に置けば完成だ。
「ねぇ、ボクやスノーと盾にするのは止めてもらえるかな」
〈ニンフィも返してね。後ね、男の子なのに戦えない人を盾するのは、僕もどうかと思うな〉
「苦手なもんはしょうがないだろう」
ツフトゥラのカプセルはもう設置済みなのに、何故かボウガさんとイーゴさんはコクレアのカプセルと手放さないで、コソコソと何かを話し合っている。
「どうしたでござるか? 何か問題でもあったんだな?」
一定距離に近付きたくないティフォが僕の肩をガッシリと掴んで放さないので、ボウガさん達に近付く事も、どんな感じの住処を作ったのかもよく見れていない。
見かねたガウがサポートに回ってくれて助かった。
「いやな、特に問題はねぇんだがよ……お前らがさっき話していたモノは娯楽の道具だろ。どんなもんなんだ? 作れるんだよな」
何故か悪い笑顔をしながら、一歩一歩とこっちに向かって歩いてくる。
「まぁそうでござるな。初めてやるにはルールが少し難しいと思うんだな」
「他にもあるんですよね?」
ニッコリと微笑みながらイーゴさんも近付いてくる。コクレアのカプセルを持ちながら。
それを見たティフォは僕に抱き着きながら、後ろへと下がっていく。
「顔が怖いんだな二人とも、どうしたんだな?」
迫力に押されてガウが少しづつ右に逸れていく。
〈ティフォ? あのね、危ないから放してくれないかな?〉
僕がそう言うと逆効果だったようで、更に拘束している両手に力が入っていく。
「なぁ~に悪いようにはしないさ。ただなぁ、ちょっと遊び道具について聞きたい事があるだけなんだ。色々と俺達の知らない知識があるんじゃあないかと思ってな」
「えぇ、すみませんが自分も非常に興味があるんですよ。ルールがあるという事は、しっかりと考えられている遊びという事ですし、何よりも渡り人達が嗜む遊びとはどのようなモノなのか、非常に興味深い研究テーマだと思いましてね」
子供を揶揄う悪い大人が居るよ。それも二人。
僕は全然平気だけどね。今のティフォにしたら、あの二人が悪魔の親玉くらいには見えていそうだ。微笑みながら近付いてくる様子が悪役そのものだもん。
可哀そうだとは思うけのだけど、怖がるティフォがちょっとだけ可愛くて、このまましばらくは黙っていようと思ってしまった。
「ち、近付くな、それ以上はダメだからね! 教えるから、全部知ってるものを教えるから、それ以上近付いたら、しばらく姿を隠すからね」
耳元で叫ばないでいただきたい。少しだけキンキンする耳を抑えながら、一生懸命に虚勢を張って、二人を遠ざけようとしている。
「だからね、ボク等を盾にしながら会話しないでよ」
〈シュネーは頭に乗ってるだけじゃん〉
「良いの、ボクとスノーは一心同体だからね」
ニンフィが自分もという感じでティフォと僕の間から這い出してきた。
左肩に乗っかって頬をスリスリと引っ付けてくる。
〈とりあえず、人質にティフォは置いていくので、許して貰えませんかね〉
「ふむ、それなら良いでしょう。あぁ、隠し事などはしない様にお願いします」
ティフォが涙目で僕を睨んで来るが、ただ可愛いお姉ちゃんくらいにしか思わない。
「スノー姫の護衛は任せるんだな」
ガウも何気にティフォを売り、隙を見て僕を救出してくれる。
「お前ら、また俺を売る気か⁉」
「またなんて、人聞きが悪いなティフォっちってば~」
「そうでござるよ、大袈裟な」
〈これもグランスコートとの為だよ、ティフォ」
涙目で騒ぐティフォを横目にしながらも、僕等は笑顔で無視する。きっと根掘り葉掘り聞かれるんだろうな……頑張ってくれ、ティフォよ。
心の中で合掌しつつ、ティフォに掴まらない様にニンフィに乗って高い位置に逃げる。
「こら、降りて来い!」
〈二人とも、後はお好きに~〉
何時の間にか近付いてきた二人に手を振って、さっさとこの場を離れる。
「ひゅい⁉ それを持って近付くんじゃあない!」
「あ、すまんすまん。な~にすぐにすむさ」
絶対にすぐには終わらない。麻雀だけでも時間が掛かるのに、囲碁や将棋のルールを教えるとなると、今日はもう解放されることはないだろう。
イーゴさんがコクレアのカプセルを設置して、すぐにティフォの元に駆け寄っていく。
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