【オンライン】199話:繋がった道と荷馬車(到着)
ガラガラと車輪の音を聞きながら数十分。
道中をゆっくり移動しながら、道端に居たモンスターをスズメちゃん達が初の戦闘をして見たり、草原を楽しみながら携帯食料を食べて微妙な感想を言ったりとしながら。
道中を満喫して僕等の住む村………。
あれ~? 何時の間にやら入り口も立派になったグランスコートが見えてきた。
「凄い立派な場所だね」
スズメが少し興奮気味に言う。
「あ、あぁ……何か立派になってるな」
ティフォも僕と同じで、昨日とはガラリと姿を変えている村に驚きを隠せないらしい。
「ん? 知らなかったの?」
戸惑う僕等を見て、ムーンが不思議そうにしている。
「知らなかったでござるな……昨日はこういう感じではなかったんだな」
「門まで立派になっちゃって、門番までちゃんといるじゃない。しかも男前の人達よ」
ケリアさんが妙なテンションで騒ぎ始めてしまった。
「そうなの、昨日って言うのはゲーム内でって事だよね?」
サクラちゃんが首を傾げながら、僕の方を向いて聞いて来た。
〈うん、皆を迎えに行くのに寄ってるから。凄くビックリしてる〉
皆でゆっくりと門まで近付くと、門番たちが軽くお辞儀をして僕等を出迎えてくれた。
「お帰りなさい、どうです立派になったでしょうスノーさん」
「お待ちしてましたよスノー様。イーゴさんとボウガさんが話しがあると言ってましたよ」
移り住んできた村人が気さくに話しかけてきた。
〈ありがとう。すぐに探してみるよ〉
道中では甘えてきていた馬達は、門番達を見てから胸を張って堂々と歩み始めた。それが少しだけ可笑しくて思わず笑いそうになるのを堪えて、門を通り抜ける。
「へ~、此処がスノー先輩達が手掛けた場所」
「活気があるね、村人も楽しそうな顔をしてる?」
「もうちょっと小さい感じの村って思ってたけど、広いんだね」
中央広場までの真っすぐの道はしっかりと出来ていて、宿屋や出店などが立ち並び、少し奥に民家が並んで建てられている。
右側には小高い丘になっている方は畑や牧場地になっていて、僕等のマイホームも此処から見える様に道が続いている。
左の道に行くと、武器屋や鍛冶屋がある。ついでに言うと火薬研究所もこっち側だ。
僕等の村はまだまだ発展途上で、門から入った景色はちょっと西部劇に出て来そうな街並みになっている気がする。
〈少し見回って来なよ、僕等はイーゴさん達に会いに行くからさ〉
「ボウガさんも用事があるって言ってたしな」
「そう言えば、何か忘れて居る様な気がするのは気のせいでござるかな?」
「なんかあったっけ? ボク達が早急にしなきゃあいけない事なんて?」
僕等はすっかり頭から抜けていた。水質汚濁防止の方法を探しに行っていたのに。
「じゃあお言葉に甘えて、少し見て回って来るね」
「私も、色々と見てみたい?」
「空いてる場所はまだあるのかな、早く場所を確保しとかないとね」
スズメ達はウキウキした様子で中央広場ではなく、僕のマイホームがある方へ手を振って進んで行く。
〈村を見て回るなら中央広場からだと思ったけど、違うのかな?〉
「まぁ大体の想像は出来るけどな……限定版って事は、初期金額もボーナスで幾らか入るんだっけか? それが三人分か?」
「あぁ~そうでござるな。それなら何とか一件くらいなら買えるんだな」
二人は何か思い当たる事があるのか、三人が向かう方を半目になって見ている。
「私はちょっと此処で失礼するわね。あぁ、そうそう川辺に染物屋を建てたいから、どういう感じで村に川を作るのか考えてちょうだいね」
そのケリアさんの言葉に、僕等は声を揃えて「あっ⁉」という感じで思い出した。
「ようお前ら、随分と待たせてくれるじゃあねぇか」
「こちらは何時でも準備が出来てますよ。どんな子達を連れて来るのかと首を長くしてね、待っていたというのに、どれだけ焦らせば気が済むんでしょうか?」
おぉう、にこやかに怒っておられる。
問題のボウガさんとイーゴさんが揃って登場した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます