【オンライン】164話:イベント騒ぎは大騒ぎ



 テイマーのみで組まれたグループや、ケリアさんのお仲間さん達が意気揚々と敵本陣がある場所の方へと歩いて行ってしまう。


「作戦内容は聞いているから大丈夫よ。下手に手は出さないから安心してちょうだい」


「アタシ達の仕事は周りのお掃除って所かしらね。作戦がバレない様に上手く暴れるから見ていてちょうだいね。可憐な花を咲かせて見せるから」


 物凄い無駄な動きなのに、無駄に洗礼んされた腰付きに細かなダンスやステップが異様に目に付いて離れてくれない。この動きだけで敵からの注目を集めているという。


 ケリアさん曰く。

 挑発を使わないタゲ取りという訳の分からない技術の持ち主らしい。


「まずは攻めるにしても一度は押し返さないとダメだな、この周辺にいる奴等はとにかく捕縛か殲滅するしかないだろう」


「その辺は妖精達が小さい穴から援護してくれるから、守りはかなり楽で良いな」


「あんまり被害を出さないように注意しないといけないからな。少なくとも死に戻りは無くして、ピンチになったら後退だな」


 皆は其々に作戦会議をしている。時間までは後一時間くらい。鬼達が一斉に攻め込んでくるタイミングで一気に押し返しす事が最初の条件だ。


 ただ、なんか他にも隅っこでコソコソと準備している人達が居る。


 ケリアさんなら知ってるかと思って、背中を指先でツンツン触って怪しげな人達の方を指さしてみると「あぁ~」という声を上げる。


「あの人達は気にしなくても大丈夫よ。何か色々と考えて動くみたいでね」


〈それは僕等は知ってなくても大丈夫なヤツ?〉

「大丈夫よ、きっと上手く行かないからさ」


 手をヒラヒラとさせてミカさんが吐き捨てる様に言う。


「何をしようとしてんだろうね」


 あぁ、シュネーなんか興味を引かれてちゃってるよ。


 作っているモノ事態は物騒な感じで、細い枝を尖らせるように削って網状にしていたり、撓りのきいた弾力性のある枝に一本一本を結び付けている。


 後は大きな丸太が何本もあるし、ゴーレムが二体も居るみたい。石ではなく鉄のゴーレムみたいだから、パニアとは別の子達だろう。


「トラップっぽいのは見れば分るんだけとね」

〈ダイチお爺ちゃんなら分かるかな?〉


 一生懸命に作ってるから助言をしているのか、彼等の傍に行って細かく何かを教えている。時々手を止めてナタの使い方や、ナイフの使い方を教えているのが見える。


〈まぁ一番に気になるのは、敵が早く来ないかってウズウズしているエーコーさんだね〉


 絶対に必要以上の防衛設備がありそうなんだよね。


 屋敷内に上手く隠しているモノがあると言わんばかりに、見張り台からチラチラと屋敷内の一画である、大きな倉庫の方を頻繁に見ているのだ。


 それもニヤニヤという笑みを浮かべながら「敵はまだか?」という言葉を何度も聞いた。


 そんな感じでまったりと過ごしていると、襲撃してくるであろう時間よりも少し早く鐘の音が騒がしく響き渡った。


「来たか! 来たのだな!」


 誰よりも嬉しそうな声を真っ先にあげるエーコーさん。


「皆、準備は良いな‼ 杭砲を用意しろ!」


 流れを利用した水車が急に周りはじめて、ガガガッという音が倉庫の方角から聞こえる。


〈扉が上に開いていってるんだけど、なにアレ?〉


 最後まで開き終わると、半円の滑り台みたいなモノが空へと突き出されていく。

 水車が急に止まり、最後にガコンという何かがハマった感じの音が聞こえた。


「盛大に放て‼ 我らの力を見せてやれ」



 精霊が倉庫近くにある止め金と数人で取り外すと、巨大な丸い球が飛び出していった。



 高く打ち上げられた球は、空中で破裂するとタネみたいなモノが周辺に散らばり、巨大なトゲが周りに飛び散って降り注いでいく。




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