【オンライン】165話:イベント騒ぎは大騒ぎ
「どうじゃ凄いであろう。ダイチ殿から投石器で使うモノは別に石でなくともよいと聞いたからな、それに別の仕掛けで打ち出す仕組みをハーナから聞いて作ってみたのだ。用意するのに必要な水車とやらはカミルが持っておったからな」
エーコーさんは高笑いをしながら細かく説明をしてくれる。
〈タネみたいなのが大量に入ってましたね〉
「アレは水を吸うとああやって尖った形状になって花を咲かせる植物でな、それを利用しと思ったのだ。ダイチ殿にも色々とアドバイスを貰ったからな」
地面に刺さったトゲはそのまま成長していき蔓が蛇の様に地を這っていく。
近くの鬼達の脚を絡めとっていき、太い御木に巻き付いて簀巻きにされていった。。トゲが刺さった鬼もそのまま地面に拘束されて身動きが取れない様だ。
〈面白い植物ですね〉
「まぁな、この辺にはないしょくぶつじゃからのう。葉や根元の見てくれは悪いし、あのように厄介な性質を持ってはおるのだが、花は綺麗なんじゃぞ」
「でもすぐに成長しちゃったけど、大丈夫なの?」
確かに、水を吸っただけでアレだけ成長する植物って危ない様な気がする。
「問題ないさ、水も確かに必要だが成長するには魔力が不可欠なのだ。水車の中には妖精達が球に魔力を込めたからのう、それに魔物の血も魔力があるからな」
つまり鬼達に刺さったトゲから急激に育ち、巨大化したのは彼等から魔力を吸い上げて育った分なのだろう。太い木に巻き付いた蔦は人の腕程もある。
「でも邪魔になっちゃわない?」
「ふふ、それも大丈夫じゃぞ。彼女等に任せておけ」
妖精達が遊ぶように水球を空中に浮かべ、地に伸びている蔦に振り撒いていく。そうしていくと、どういう訳か蔦が避ける様に道を作っていく。
「どうじゃ、コレで進める道が出来たぞ。まぁあの植物をコントロールする為に我らは此処に残らなければならなくなったがな」
〈なるほど……つまり、此処の守りは要らないって事ですね〉
ニヤっと笑て見せて、それ以降は何も言わずに頷いた。
「全員で行ってくると良いぞ」
殆ど周りを鬼達に包囲されていたおに、殆ど残らず簡単に押し返せる戦力差になった。
〈ありがとうございます〉
「なに、元々は我から頼んだことだ。殆どの事を任せて悪いな」
「それじゃあ行ってくるね~」
シュネーは手を振って僕の頭に乗り、ニンフィと一緒に門の所へ移動する。
「全員、今のうちに攻め込むぞ!」
ティフォが大きな声を上げて、一気に門を押し開いていく。僕も一緒に戸を押していきガウも手伝ってくれる。ケリアさん達は反対側を皆で開ける。
門が全開で開ききると、皆が声を上げて敵の本陣へと一斉に駆け出していく。
ダイチお爺ちゃんと、なにやら隅っこに居た怪しいメンバーは少し遅れて出て行く。ただ、敵陣の方向ではなく森の中に其々二人づつくらい散る様にして散開していった。
「あの人達、本当に森に罠を仕掛けに行ったわよ」
やはりミカさんは彼等の事をあまり信じていない様だ。彼等と言うよりも作ったトラップの方を信用していない感じだけど。
「ジャンシーズの事もあるし、罠の管理はあっちでやってくれるみたいだから良いんじゃないかしら、仲間には掛からないよう注意してくれるって言ってたわよ」
「でも爺ちゃんが手を貸してるからな~、ある程度の効果はありそうで怖いんだよな」
「ハーナさんも何気にノリノリだったしね」
〈ダイチお爺ちゃんだからね、きっと良い仕事をしてくれるんじゃないかな〉
「……そんなに凄いの?」
「あのお爺ちゃん達だけは舐めたらダメなんだな。悪戯という事で楽しみ出したら、拙者達よりも質が悪いんだな。何せティフォの師匠みたいな人なんだな」
それを聞いたアズミルが顔色を悪くしていく。
「え? なに……てことは全力を出したティフォお姉様よりも質が悪いってこと⁉」
ガウは何も言えず、ただ黙って頷いた。
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