【オンライン】161話:イベント騒ぎは大騒ぎ




 転移陣の建物が完成し、最前線であるエーコーさん泉へとテレポートする。


 大きな魔法陣の中に納まるの人数は六人くらい。


 ケリアさん、ティフォ、ガウ、シュネーと僕、それにアズミルとミカさんというメンバーで最初に転移陣を使う事になった。


 陣の中央に皆が載ると魔法陣が光りだす。


 少し眩く軽く目を閉じると、体がちょっとだけ浮くような感覚が一瞬だけした。すぐに地面に足が着いてしっかり立っている感じがして目を開いた。


〈……あれ? ここは何処?〉


 泉にあった小さい祠は目の前にあるのだが、見慣れた景色がそこには影も形もない。


「マップでの表記はエーコーさんの泉だぞ」


 カコンッと良い音が鳴った。

 ただ円状の大きな泉だった場所は、傾斜を利用し小さい川が流れている。

 巨大な岩の上から水が湧き出していて、小さいながら滝なんてモノもあるようだ。


「随分と様変わりしたわね。何処かの高級日本旅館にでも来たのかしらね?」


 ケリアさんが冗談交じりに言う。


「お城じゃあないにしても、武家屋敷みたいなモノは出来てるんだな」


 カッコイイ和風建築の建物が何時の間にか建てられている。


「あの蓮ってニンフィの仲間も居たりするのかな」


 シュネーが興奮気味に色々な所を飛び回っていると、目立たない場所にひっそりと蓮の葉が見えた。確かにニンフィと同じ葉っぱだから蓮で合っているだろう。


 同じ種族が居ると分かるのか、ニンフィが少しだけソワソワした感じで僕を乗せながらも、周辺をキョロキョロと見回し始めた。


「とにかく此処にジッとしてると次の人達が来れないから、移動しましょう」


 周りの景色に圧倒されて、自分達が全然動いていない事に今更ながら気が付いた。


〈道までしっかり作られてるね〉

「こんな玉石を何処から用意したんだろうね」

「苔なんてあったのね、鹿威しまであるし。この短い期間でどうやって……」


 アズミルもミカさんも歩きながら、景色を堪能しているようだ。


「なぁ、そう言えば……あの受付嬢さんって何処に行ったんだ?」


 ティフォが顎に指を当てながら呟いた。


 言われてみれば確かにカミルさんが帰ったという話は聞いていない。あの人は僕等に何も言わないで帰る様な性格ではないだろう。


 でも、何もせずに居るとも思えない。そんな人がグランスコートの村に居なかった。


〈まさか……此処で何かしてる?〉


「ありそうでござるな、人を驚かせる事に命を懸けていそうな性格をしてるんだな」

「噂をすれば影が差すとはよく言うものね。見つけたわよ」


 ケリアさんがちょいちょいと指差した方を見る。

 物凄く機嫌が良さそうにせっせと何かを設置している様子だ。


 その隣にはエーコーさん、そしてダイチお爺ちゃんとハーナさんが居た。


「ふむ、良い出来じゃな」


「そうでしょう。私ってこういうのは得意なんですよ」


「他の場所も良い感じに均しましたよ。後は木々を埋めて行くだけね」


「ただ木を生やすのではなく、こういった感じで景色や空間を意識して木々や花を生やした事はなかった。こうも違うとは思わなんだ」


 和気あいあいと話をしているようだ。



〈あの、何してるんですか?〉



 割って入るのもどうかと思ったが、こちらは知りたい事が沢山ある。時間だって無限ではないのだから、勇気を出して話しかけた。




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