【オン91】イベント騒ぎは大騒ぎ
ボウガさん宅の庭に居るスライムの世話をしているトワちゃんを訪ね。
この集落に居るモンスターの情報を知りたいという経緯を話した。
「糸を作れるようなモンスターですか……」
トワちゃんが考え込んで、しばらくすると首を横に振った。
「残念ながそういったモンスターは居ないです。植物系のモンスターはイーゴさんの所にいるデンドロ族くらいで、他の人達の所に居るのはスライム族か、鳥系のモンスターです」
出来てウサギさんくらいと言われてしまう。
使えるといっても毛皮としてだろうけど、流石に敵対関係にはなりたくない。
『そう、居ないんだ』
「はい居ません。アロゴ族……馬のモンスターなら居ますけど、まだまだ力の弱いポニーですから尻尾の毛ぐらいです」
「それだと筆くらいにしか使えないでござるな」
「ん~、ブラシって言うのもあるよ~」
「そうね、後は楽器くらいかしら」
唯一人だけ、何にも言わずにスパイクを撫で続けるティフォがそっと、部屋の隅へと逃げたのをオレは見逃さない。
さっきも言ったがこの世界はオレ達があって当然と思っているモノが無いんだ。
体を綺麗にするのは水浴びだし、お風呂なんてものは常備されていない。
あるいは少しでも魔力があれば、カサロという魔法の杖で綺麗になってしまう。
きっとプレイヤーの誰かが作らないと。
日用品は増えていかないって事なんだと思う。
さてここまでで、何が言いたいかと言うとだ。
「それって、私達にも作れるモノですよね」
ボウガさんやタムさんを思わせる迫力が、彼等を襲う。
逃げられた怨みもある、もちろんオレは彼等を助ける気は無いので悪しからず。
受付嬢さんが言っていたのはこういうことだったんだな。
「ねぇケリアさん……他にも何か色々と知っているんじゃないですか?」
「えっ? し、知らないわよ」
目が泳いでるせいで、それは嘘だと言っているようなものだよ。
「……まぁ良いです。その辺の情報は商業ギルドの人にでも言っておきます」
トワちゃんは笑顔だけど、笑っていない目をケリアさんに向けて言う。
『それじゃあ、この辺には居ないのかな?』
いつもお世話になってるし、ケリアさんには助け舟をだそう。
「最近までは居なかったんですけど、少し先の森や草原に何やら他のモンスターが住み着いて数を増やしているみたいなんですよ」
「最近になって急に増えたの?」
「はい、急激に数が増えているのはもう確認済みです」
そう、とだけ言ってケリアさんが急に難しい顔をし始めた。
話しを聞いていたガウもケリアさん同様に真剣な顔つきになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます