【オン86】イベント騒ぎは大騒ぎ
「このゴーレムって戦闘に使えるのか?」
ティフォはウキウキしながら聞いてくる。
「ムリダな。ヘンケイした、ヒトガタは、ボウギョリョクがナイ」
移動や重いモノは持てる様にしたのは作業効率を上げるためだ。
戦闘に関しては何も考慮していないから、防御力は無いに等しい。人型状態で関節部分に強いダメージを受けて閉まったら一発で砕けてしまう。
「そりゃ大丈夫なのかよ? 丸太を切ってる時に壊れないだろうな」
『丸ノコ台になっている時は大丈夫です。動けない替わりに頑丈になるので』
「一玉切ってみたらどうじゃ? 強度と何処まで綺麗に切れるかって言うのは試しに切ってみんと分からんからのう」
リアルにある機械みたいに綺麗に回転はしないだろうから。
多少はガタガタになってしまうと思うけど、試し切りは確かにしたことない。
『パニア、上手くできそう?』
「マカセろ」
胸元でパニアが光るとそれに答える様にしている。
丸ノコ台ゴーレムがゆっくりと動き出す。
手の部分がクレーンのアーム状態になって丸太を一本しっかりと掴んだ。
中心部分で回る丸ノコに宛がうように置くと、ぶれない様に作った窪みにもしっかりとハマって木を削る高い音を鳴らしながら、縦に切断していく。
「ほう、こりゃあ楽でいいな」
ボウガさんが今まで見せなかった笑顔で、目を子供の様に輝かせながら真っすぐ縦に切断された面を撫でながら喜んでくれた。
「ふむ、少しガタついてる所があるようだが……及第点かのう」
ダイチ爺ちゃんが切断面を横から覗くよに見ている。
満足そうに腕を組んで頷いている。
ぱっと見た感じでは真っすぐに切れている様に見えるけど、ダイチ爺ちゃんをマネして切断面を見ると、波打っている感じが良く解る。
撫でて移動すれば、所々が波打っている感じで盛り上がっていたりする。
「すげぇな……あのデッカイ丸々一本をこの短時間で真っ二つかよ。しかも動力はゴーレムだから疲れる事もねぇ」
タムさんが燥いでいたけど、すぐに真面目な顔になって考え込んでしまう。
「便利は便利だが、やっぱこの辺りじゃねぇと使えねぇんじゃあな」
丸ノコ台ゴーレムを撫でながら、腕組みして物凄く唸っている。
「だったら引っ越してきたらどうでござるか?」
「ばぁ~か、俺様があそこから居なくなっちまったら困る奴等が大勢いるんだよ」
自慢顔で語るタムさんは何処か誇らしげに見えた。
「なぁ誰でも使えて生活の手助けになる様なモノって何かねぇかな」
思わず呟いたのだろう。
自分で発した言葉に驚いている顔をして、口元を手で覆っている。
「す、すまねぇ。今のは忘れてくれ」
オレ達は皆で顔を見合わせてしまう。
タムさんが呟いた言葉はしっかりと全員の耳に届いてしまっていた。
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