【オン55】役割、開拓、初めの準備
「それじゃあ、初回レッスンといこうか、ここの石材はもう君のモノだ。ただ次からは自分で補充しなくてはならない。石切り場へ行って自分で取ってくるか、中央都市のギルドで買うのも良いだろう。石切り道具はファーマーの受付で何時でも買えるだろう」
あの受付さん、オレが来たって嬉しそうだったし。
また会いに行くのも良いかな。
『石切り場って、この辺だと何処に行けばいいんでしょうか?』
まだオレはグランスコートの大地では、森にしか行ってない。
「森と反対方向に進んで行けば、岩山があるわよ。でもまぁ、ヴォルマインから取ってくる方が簡単だと思うけれどね」
「あぁ、あの岩山でござるか……あそこは、アクティブモンスターの巣窟なんだな。ゴブリンやらオークが住み着いているんだな」
アクティブなモンスターがうじゃうじゃ居る。
採取や採掘は難しそうだな。
「なんでそんなに違うのさ?」
シュネーが不思議そうに聞いた。
「人が住んでるか、って違いか?」
ちょっと考えてすぐに、可能性としてティフォが言う。
「ティフォナスちゃん正解よ」
ケリアさんはグッドのエフェクトを振りまいて、楽しそうに言う。
「そうですね、ヴォルマインは確かに岩山ですが、あの岩山には洞窟暮らしの者達が多く住んでいますから、定期的にモンスター達は討伐されています。それと違いグランスコート側にある岩山には人なんて住んでいませんからね。モンスターの繁殖がし放題って訳です。ただし、石材としてなら良い素材が沢山取れますよ」
イーゴさんがご褒美と言う感じで、詳しく説明をしてくれる。
「ヴォルマインでは、ずっと奥地に行かないと良い素材は取れないんだな。まぁ唯の石やゴミ同然の鉄鉱石なら道端の石ころの様にゴロゴロと落ちてるでござるよ」
それなら、ちょっと散策がてらヴォルマインに行くのも良いかもしれない。
クズ鉄といっても、此処では必要になって来るだろう。
それにしても、イーゴさんが急に石材の品質の事を言いだしたって事は。
『もしかして、石材の種類でゴーレム達の能力も変わってくる?』
「流石だスノー姫よ。良い石材を使えば効率も動きも段違いのゴーレムが出来上がるだろう。がっ、しかしだ、それにはまだパニア様の能力値が足りない」
うぅ、簡単じゃなさそうだな。
色々と別の条件でゴーレムの能力を考えないとダメって事だよね。
「使役モンスターのレベル的な問題って事か?」
ティフォもモンスターと強くなる職業だし、大体同じ考えで良いのかな。
でも、同じだったらスキルはテイマーと一緒になるんじゃないかな。
「その認識で間違いではないが、正しくない。よってティフォナス君、不正解だ。テイマーではレベル的な概念で間違いでないのだがね、ファーマーの使役・契約をしたモンスターは特殊化に置かれると言われている。コレは能力値の向上が出来ない事に由来する。では、一体全体にファーマーとは、なんの能力が向上すると思うかね」
学校の先生の様に、眼鏡に手を当ててクイクイして聞いてくる。
「能力値は基本、あがらないんだよね~」
「そうでござるな。じゃあファーマーの上がる能力……」
ガウもシュネーも一緒になって考え込む。
「特殊スキルや別の能力上昇よね」
どこか真剣な表情でケリアさんが答えた。
「ふむ、ケリア嬢は別のファーマーと関りがあるのかね? 正解だ。だが、君の知っているファーマーと一緒にしてはいけないよ」
何故かイーゴさんの指摘に、歯切れが悪い感じで正解と答えた。
「……それは、どういうことかしら?」
「簡単な事だ。ファーマーには開始した土地、育てだ場所、仲間にした者達。何よりも最初に与えられる特殊スキルや恩恵は、一人一人が別のモノを持っているからだよ」
またすぐにケリアさんが真剣に悩みこんでしまう。
『そうなんですか?』
「少なくとも、私が独自に調べたファーマー達はそうだった。一人として同じ能力を持っている者はいなかったからな。共通している能力は語学解読系だろうな、あと幾つかある」
色々と研究してきたんだろう、オレが聞くと楽しそうに答えてくれる。
「ちなみに、どんな能力の違いがあるのかって……聞いて良いのかしら?」
「簡単で良ければいいだろう。一人は仲間の能力が向上するもの、一人は技量の特化や閃きに関する力を持っていた。と、様々だ、この話はもういいだろう。今は関係が無いしな」
イーゴさん的には、早くこの台座の力を見たいのだろうな。
『ケリアさん?』
「どったのケリアん、難しい顔しちゃって」
オレとシュネーがちょっと心配になってケリアさんを見るが、すぐに笑顔を見せた。
「いえ、何でもないわ。それよりも続きを聞きましょうよ」
ケリアさんの、待っていましたとばかりにイーゴさんはすぐ喋り始めた。
「では続けよう、ファーマーだけが得られる【視察】というスキルがある。そこに《土地レベルの向上》というギアを覚えられるはずだ」
そうイーゴさんが言い終えると同時に、システム音が鳴り響いた。
==【視察】についての隠しスキルが解除されました==
※続いて、《土地レベルの向上》ギアを取得しました。
==【視察】と【契約・使役Lv1】により特殊ギアの解放に成功しました。
※貴方は《魔物の能力視》《モンスタースキルボード》を獲得しました。
『びっくりした』
「急に来たね……僕もビックリ」
オレとシュネーの様子をイーゴさんは嬉しそうに見ていた。
「どうやら、取得できたようだな」
「僕のが《魔物の能力視》(シュネー専用)だね」
『みたいだね、オレのとこには《モンスタースキルボード》(スノー専用)って出てる』
驚き、すぐにブツブツと何やら、イーゴさんの頭の中で纏めている様子だ。
「能力の向上じゃなく、スキルボード……初めてのケースですね。初めに戦闘をせずに契約として力を借りたから、そのギアを得られたという事でしょうか……大体は能力向上か使役数の上昇でしたからね」
「ゴーレムとかの契約の方法を初見でヒント無しで気付けってのは無理だわな」
「仮とは言えど、流石に厳しいんだな。それに、スノー姫から聞いたデメリットを考えれば、釣り合いも取れてきたんだな」
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