第02話 交渉決裂?

私は右手に持っていた《イブの杖》を横にして、頭を下げ、言いました。

「私は魔の巫女、ローズ=マリーと言う者です。このようなところまで、遠路遥々えんろはるばるご苦労様でした」


顔を上げる。


光の巫女が何を望み、ここまで、いらっしゃったのか聞きましょうか。

…聞くまでもありませんが、せっかくですので。


光の巫女は、身体と《ノアの杖》を白く輝かせながら、私をさぐるように話し始めました。

「今、世界中の巫女達がオーブを集め回っているのは、ご存知でしょうか?」


「ええ、そのようですね」

そんな初歩的なところから、始めるのですか…長くなりそうです。


「私たち教団は、光の神に従い、新しい未来に…光の神が最高神となる未来に…世界をいざないます」

光の巫女は一つひとつ丁寧に確認しながら、探りを入れる用心深さがあるようですね。


「そうですか、頑張ってください」

やはり長そうなので、冷たくあしらいます。


光の巫女は動じないと言うより…自分の世界を作り、語るくせがあるのでしょうか。

私が返す内容は、特に気にして無いように思います。…人間風情が。


「魔の巫女よ!魔の神は何を望んだ!?」

光の巫女は、興奮しているようですね。


「…魔の神は存在しません。八人の巫女達の中で、血の巫女と、魔の巫女には、神と呼ぶべき存在がありませんので…」

人間が理解出来るよう、優しく噛み砕いて話しました…。


「私を騙そうと、意味不明な事を…」

光の巫女の瞳に、怒りが宿りましたね。


「すみません…では、少なくとも " 未来 " ではありません」

このような人間には、キッパリと拒絶した旨を伝えましょう。


「そうですか、ならば魔のオーブは教団が頂きます。あなたは消滅消えて下さい!」

《ノアの杖》が横手に引かれました。


……さて、どうしましょうか?

私、魔の巫女は、光の巫女には勝つ事が出来ません。

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