第03話 同志?
"ドゴッゴキンッ"
ナルの心臓に向かって、真っ直ぐ突き進んでいたカタルは、嫌な音と共に、進路が変わり大地を突き刺して終わる。
それをなし得たのはナルの右拳だ。思い切り身体を捻り繰り出された右フックはカタルの横っ面を打った。
二人は弾けるように離れ、対峙する。
闇の巫女は、黒い忍装束に、黒いカタルを装着した黒ずくめの忍だった。
ショートカットに切り揃えた黒髪から覗く黒瞳は、
カタルを思い切り殴ったナルの右拳からは、血が
ナルは何故か楽しそうに闇の巫女を見据える。
「闇の巫女が、早速、剣のオーブを取りに来たって訳ね…」
私はナルの背後から右手に回り込みながら闇の巫女に問う。
「闇の巫女!…剣の神は、現在の世界を維持せよと申された。闇の神の
私は身体中に力を込め、そのエネルギーをナルの右手に注ぎ込む。
私に唯一ある能力、治癒だ。
闇の巫女は、回復していくナルの右手を見つめ、治癒能力を認識しながらも、動かない。
変わりに、口を開いた。
「…闇の神は、最高神無き今、現在の世界を
「…ちょっと!じゃあ一緒じゃん!!」
ナルは嬉しそうに闇の巫女に言い放つ。
私も安堵してナルに続く。
「闇の巫女、私たちの目的は同じです!協力してオーブを集めましょう!」
闇の巫女の黒い瞳が、一瞬、
そして、闇の巫女は身体を沈め、戦闘体勢を取りながらこう言った。
「…私は一人で充分…あなた達はいらない……」
「…ショコラ、離れてて」
ナルは右手を開閉しながら私に囁く。
ナルは両手で《アマテラス》を握り、剣先を闇の巫女に向けた。
「やるならやるで、とことん
ナルは、言い終える前に疾走する。
横手から繰り出された《アマテラス》による水平斬りは、早く鋭い。
闇の巫女は、黒瞳にしっかりと《アマテラス》の刃を納めていた。
闇の巫女は、二つのカタルを肩口に掲げ、《アマテラス》の刃を受け止めた…が、顔が歪む。
想定していた威力を超えていたのだろう。
闇の巫女は金属の衝突音とともに、数m地を滑った。
ナルは、振り切った《アマテラス》を天に掲げ、そのまま、一気に振り下ろす。
しかし、闇の巫女も早かった。
地を滑った闇の巫女は、止まらず、すぐさま突進しナルへと迫る。
《アマテラス》が地に振り下ろされる隙間を、黒い疾風が駆け抜けた。
"ザシュッ"
ナルと闇の巫女が交錯し、間に血飛沫が舞う。
ナルは、脇腹をカタルの刃に深々と斬り裂かれている。
闇の巫女は、左肩を《アマテラス》の刃に裂かれたようだが、刀身の根元だ…傷は浅い。
再び、弾け離れる二人。
「ちょこまかと、すばしっこいわね!」
ナルは楽しそうに《アマテラス》を構え直す。
「……」
闇の巫女は、無言で腰を落とした。
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