白河 夕季( しらかわ ゆうき)


白河しらかわ夕季ゆうき 


 朝季の義兄。二年前、朝季を生かす為に自殺の様な形で命を落とす。


 戦前は両親、弟と暮らしていたが、東京奇襲で家族を失う。父は国の重役だったが奇襲で生き残ったのは父と対立していた重鎮達ばかりだった為、東京の街に閉じ込められた。せめてもと北域部隊隊長の役を与えられたが、嫌気が差して自害しようも訪れた実家で朝季と出会い、その時に纏っていた白い布切れが凪と被り、手を差し伸べた。

 奇襲直前、大学受験に失敗した夕季は全国を一人旅し、瀬戸内海に面する海辺の港街で幼い頃の凪と出会っていた。

 受験に失敗し、その八つ当たりで友人を失い、家族からも蔑まれ生きることに疲れて無気力になっていた夕季だが、凪と出会って考えを改める。

『考えることをやめたらそれはもう、人間じゃない』という言葉は、凪が夕季に言ったもの。

 ちなみに凪は、その言葉を最初の学者、姫乃博士から聞いていた。

 予備校近くのファミレスに週一で訪れており、その時に冬那と出会った。

 朝季と凪が出会ってすぐ互いに惹かれあったのは、凪が夕季に憧れていたことを察した上での、彼の策略。

 凪に対しては、「この子は人の顔を見ない。俺と同じ雰囲気の人間には惹かれる」と、朝季を自分に似せて育てた。

 朝季に対しては、凪のような少女を庇護対象とするような教育をして来た。だが朝季自身が凪のような子を好きになりそうだと気付き、また義弟としての情が湧いて途中から本当に家族として暮らしていた。

 凪への恩返し、それが最初の目的だった。

 受験に失敗して自暴自棄になっていた、死のうとさえ思っていた時に生きる希望を与えてくれた田舎の少女に。

 本人が冬那に語っているが、これは『俺たち義兄弟から、彼女へ』恩返しのための物語。

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