凪の看病 〜朝季メイン・幼馴染メンバー+NCCF〜


* * *



病気で床に伏せてる凪。

何か食べさせたい朝季は、お粥の作り方を求めて電話してみた。


景子『病人食ですか? カモとかネギを入れておけばいいんじゃないですか?』

朝季「お前、面倒くさくてテキトー言ってるだろ?」


だいたい雑。



たすく『栄養あって手軽に作れんのはカレーじゃね? 配給食的な味でよかったら俺も手伝える……おい愛理、何で笑ってんだよ。はぁ? 給食じゃねー、配給食だって』

朝季「……配給食?」


施設は食事当番制です。



修二『馬鹿か! 消化悪いだろカレーは、治すほうに労力使え! 水分補給できるなら栄養入ってるやつにしろよ、塩分とか』

朝季「塩分……NaCl……」

修二『おい、まさか生成しようとしてないよな? やめろ気持ちわりーだろうが、人体から抽出した塩なんて!』

朝季「……修二、詳しいな。EMPって外傷専門だよな?」

修二『母親が内科医だったんだよ! たぶんな!』

朝季「あぁ、胎内記憶か」

修二『つーか俺忙しいから。病気のことなら専門家に聞けよ、小鳥がいんだろ?』

朝季「えぇー……あれは、ちょっと……もしかして仕事中? 今日忙しい?」

修二『お前が凪の看病で休みたいって言うから、俺が一人二役やってんだろーが!』

朝季「……ありがとう」


なんだかんだ優しい。

一人二役?制服どっち着てんだろとは思うけど。



小鳥『はぁぁ? 病人食? どうして私に聞いてるの? 料理に関しては凪が最高位でしょ? どうして私に聞いてるの? バッカじゃないの、バッカじゃないの! 凪に聞きなさいよ!』

朝季「いや、だから、寝込んでるから……つーかうるさ……」

小鳥『ご飯は? 食べれてるの?』

朝季「だから、何か食べさせたいと思って電話して……」

小鳥『食べさせてないの? そんな状態でよく呑気に電話できるわね! まさかそのまま薬飲ませてないわよね? しんっじらんない、ほんと馬鹿じゃないの? 馬鹿!』

朝季「うるさ……」

小鳥『とにかく! 市販の薬はすぐに捨てて! 水飲ませて、食べれるならお粥口に突っ込んでそこで待ってなさい! いい? 部屋から出ずに待ってるのよ? 待ってなさいよ!』

朝季「いや、だから、お粥の作り方を……切れた……」


10分後


伊沙「宅配便でーす。姫からお届けもの」

朝季「何だこれ、薬?」

伊沙「こっちがご飯食べてなくても飲めるやつで、こっちがご飯食べた後に飲むやつ。元気になった後の薬はいま作ってる」

朝季「すごいな、小鳥。医療に関しては何でもできるな」

伊沙「天才だからね、姫乃小鳥は。それより白河くん、さっき思いついたんだけど私、薬剤師になろうと思う」

朝季「……そうか、頑張れ」

伊沙「凪ちゃんが看護師でしょ? 私が薬剤師になったら完璧じゃない? だから私も白河家の嫁に……」

朝季「断る。つーか、薬剤師なら小鳥と組めよ。医者と薬剤師で病院開けるぞ」

伊沙「なにそれ、名案。就活面倒だけど、姫の病院ならその必要もないし」

朝季「動機が、不純すぎる……」

伊沙「でも姫って細かいこといちいちうるさいから、やっぱり白河家に……」

朝季「お似合いだと思うぞ。お前も十分、うるさい」


女三人寄ればというけれど、二人で十分姦しい。



伊沙「で、白河くん、お粥作れるの?」

朝季「……米を煮る、くらいの知識しかない」

伊沙「ほら、やっぱり! この家には料理担当が……」

朝季「凪の料理の腕、というか家事レベルの高さ知ってるよな? お前の部屋、床が見えないって聞いたことあるけど? つーかお前、お粥作れんの?」

伊沙「……お米を煮て梅干しを入れる、くらいの知識はある」

朝季「…………」



凪「え? お粥の作り方? えっ? そのために私、起こされたの?」

朝季「……ごめん」

伊沙「聞いて、凪ちゃん。白河くん、お米をお湯で煮ようとしてたの」

凪「それであってるけど……ていうか伊沙ちゃん、どうしてうちにいるの? それよりお粥……自分で、作るからいいよ?」

朝季「いや、凪は寝てていい……」

凪「正直言うとキッチン汚されたくないし、朝季と伊沙ちゃんのコンビ、炊飯から危うい……」

伊沙「……力尽きて寝ちゃったね」

朝季「……なぁ、お粥って、普通に米炊くんじゃなくて炊飯から始めんのか?」

伊沙「お米炊くのと炊飯って違うの? 飯盒炊飯? 白河くんの家、そんなものあるの?」

朝季「炊飯器の機能にそれに似たようなものがあるって、購入した時に凪が……」

伊沙「ていうか、起こしたなら薬飲ませればよかったね。ご飯食べてなくても飲める薬、姫が用意してたわよね?」

朝季「……もう一回起こす、って選択肢は?」

伊沙「ありえないでしょ」

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