最6話 約束

 少女の顔に暗雲が立ち込める。

その原因は、目の前の建築現場にあった。


「ここにはキンランって花が沢山、咲いていたの。黄色くて可愛くて、大好きな花だったの。でも、ここ最近は、都市開発が進んでその姿は減ってるの」


「まさか、今まで見てきた森もいつかは、人間に壊されて無くなっちゃうの?」


「そうかもしれないわ。だって東京も最初は自然豊かな大地だったのよ。でも、人間の私利私欲によって大地は抑えつけられ、他の生物達は行き場を無くしていってる。きっとこれからもそれは続くわ」


「大丈夫だよ! 俺がそんな事させないよ!」

「いえ、私はもう人間に期待する事はやめてるの」

少女は悲しげにそう言うと、湊人に背を向けた。

「なんで、そんな事言うんだよ! まだ、分からないじゃないか」

「分かるわ! 私は何百年もここでに人間達の行いを見てきたから」

「それってどう言う事? 何百年もって、君は一体何んなの?」

「もう、君とはお別れよ」

「待ってよ。絶対、俺がここを守ってみせるから。だから、そんな暗い顔しないで」

泣きながら、少女に訴える湊人。


その声が少女に届いているか分からず、湊人の目の前は暗くなっていき、意識が病室へと戻った。

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