第6話 ひとつとなりしもの、dungeon、入り口付近
今日は物語日和だ。
語られるべきお話がまとまりとなっておりなされていくべきにふさわしいときなのだ。
それはきちんとした体をなしてなくてはならず、だからこれからはじめるは行為や因果や感情、諸々が交錯し交響される輪舞してゆかれる軌跡、道程となればそれはそれはかくも一興で。
けれどもそれさえも叶わぬただの気休めに過ぎないかもしれず、幕を閉じてみなければきっとわからずじまいだろう。
わたしの名前はカオル。たったそれだけ。
一語り手にして、おそらく主幹をつとめさせていただくことになる。
僭越ながら語らせていただこう。
日はのぼりきったというのに、そこだけは影の居ます聖域となっていた。
光と影の洞窟。
此度最初の山場にして、最終決戦場。
谷間にひっそりとあるそこの入り口に、わたしたちは立っている。
わたし、カオルの持つ7体と、ホウの4体、オオカミの2体、ミラの1体だが、出ていないものもあるので、実際は4体、という構成だ。
オオカミにウェートを置いて、2体ともに出てきてもらっている。
そもそも彼は(彼女でもあるからややこしいがこう書いておく)戦闘特化型でどっちも古強者ときているから、ドラゴンの群れでもない限り、まず遅れを取ることがないだろう。常時リンクをはれ、破綻しない数少ない者で、こういう言葉はあまりなじんでないのだが、言うなればチートキャラなのだ。まあ努力で成ったのだから英雄、勇者と呼んで差し支えないのだが、さして苦労していないので些かの皮肉を込めてとりあえずこう呼んでおく。
それにしてもなんとも古典的で王道な型だ。
ファンタジーな惑星ゆえ、そういうものでビルドされているとはいえ、少しは参与する読み手で行為者でもあるわれわれを楽しませてほしいものだ。
よし、と。
皆の承認を得て、
物語をゆるく展開する。
こちらの使うジャンルは神話だと決着がつかなくなるので異世界ファンタジーをチョイス、ライトノベル、ビデオゲームタイプでイージーモード、セットアップ。中世ヨーロッパ風をメインイメージとする。そこに天からのギフトという介入でミリタリー装備と考えを挟んでひとまずおしまい。
バックアップにいくつかの固有の物語を込めておくも忘れてはいけない。
「相手はデーモンロードかしらね」
オオカミの片割れ、女魔法使いがあっさりとした口調で言う。
「最初がまさかのまさか、最後なんてな。どうゆう筋書きなんだよ。もしかしてこれから呪いとかで弱体化でもするってかあ?」
童女武闘家の姿のホウがぼやく。
「さあな、われわれがよく知らないものである可能性はある。不条理、手抜きでなければいいが。歯抜け、断筆の類は勘弁して欲しい」
わたしは噛み締めるように低いがよく透き通る声を出す。主人格は男なのだが、軽装備な若い、聖女風女聖騎士だ。見た目は仲間から注文をつけられ、変に美少女で聖女している。任務には関係ないのでそこは地味めで良かったのだが…設定したミラがそれじゃないと相応しくないと、強く推していたので仕方なくもあり。まあそのミラは細マッチョの中年男アサシンなのだが。
細々と、着々に詰め終わるも、わざとところどころぼかし、曖昧にもし、装備等も滞りなく。
準備は整った。
敵の物語に深く潜入開始だ。
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