第5話 食べられるもの

 いかな形態であれ、生の活動にはエネルギーが必要となる。人びとはそれぞれを尊重して、もうどのようなものも食べられる段階まで達しているのだが、肉の摂取も認められている。それこそ霞を食べるものからすれば、となるかもしれないが、畜産動物は食べられるものである。ただし、屠殺方法と調理法によっては、その筋のものたちから認め難い事態となるので、襖部屋クラスのブラインドされた空間でならという手間がかかるのを忌避され、食道を追求しているのでなければ、大抵は合成物、人工物で済まされる。美味しさは再現アーカイブからあらかじめインストールしてかつての本物を追体験するのが無難である。もっとも、味覚をいじってしまうのも手ではある。星ひとつを平らげようとしたものがいたが、このような連中はイーターと呼ばれ、ホワイトイーターとブラックイーターがいて、後者は悪食モノなので、くれぐれも認知承認されないよう注意されたし。

 尾籠な話で恐縮だが…出るものは出るし、出すものは出す。配慮したり、おしゃれしたりと工夫はなされるが、再び循環する廃棄物は、いずれは大道へと至るのであろうが、直後では以上でも以下でもない。むしろ当然の自然現象として、寛ぎの時間としてやり過ごすのだ。

 取り込むものと、取り込まれるものの関係は合意は得られ難くとも、報われ、幸せであるべきだ。なんらかのプラスが、互いを、かたちこそ違えども利益を生む。


 食とは対象同士のこうかん行為である。

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