第11話 琳榎ちゃんとりんた兄

家に帰るとりんた兄が待っていた。


「りんた兄!ただいま~。何してたの一?」


「おもしろい漫画を見つけたから読んでたんだ。翔、おかえり。」


「今度俺にも貸して―」


「いいよ。今日いいことあったの?やけに楽しそうだけど」


どきっ。


「もしかして好きな子ができたんか?」


どきっ。図星~ さすがはりんた兄だ!


「応援してるよ~」


めっちゃからかわれてる!でもこのまま行くと好きな人の名前まで聞かれそうだな…


りんた兄は朝さんと一度会ってるし…ばれたくないな。


こうなったら強制的に話をかえるしかないなあ!


「りんた兄、この前もらったクッキー美味しかったよな!」


「うん。美味しかったな!お礼は言ったか?」


―――――――――――――


小坂さんからもらったクッキーは手作りと思えないほど美味かった。


お礼と美味しかったということを伝えると、とても喜んでくれた。


『ほんとですか!?嬉しいです!』


『ああ。兄も食べて、美味しいって言ってたよ。』


『?!空野先輩、お兄さんがいるんですか・・・?!』


『うん。りんたって言うんだけど、料理上手で優しくて。自慢の兄さんなんだ。』


『・・・そうなんですね!お兄さんは三年生ですか?』


『いや、大学一回生だよ。高校を卒業して少し経って、もう高校を懐かしいって言ってるよ』


『そうですか!クッキーありがとうございました!ではまた!』


小坂さんはそう言うと足早に去って行った。


―――――――――――――――――――


「翔、回想シーンが全部声に出てるぞー!」


えっ。まじか…恥ずかしいいい!!


「クッキーくれた子の名前、小坂さんっていうのか。会ったことある気がするんだよな…」


異常にりんた兄の話したらキョドってたし…なんだろう。下の名前言えば思い出せるかな…?


「小坂さんの下の名前は琳榎。こさか・りんかだよ。」


「んんん~。絶対会ったことあるのに…思い出せない…!」

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