相性は最悪です
「渚ちゃんはタイプ5だって」
スマートフォンを見ながら何十もの質問をしてきた五島は最後満足そうにそういった。
今学校内で流行っている性格診断。当たると評判のようだが渚は全く信じていない。
「へぇー」
「自分を普通だと思ってる変人だって」
「全くあってないな」
「自覚ないところまで当たってるわよ」
渚の認識を全否定して五島は「これ本当にあたるのね」と感心している。ひたすら質問を答えさせられた挙げ句がこの対応、なんて災難だと渚は顔をしかめた。
「私たち相性いいわよ! お互いを支えあえる関係ですって。素敵!」
「そういうのって適当に当てはまりそうなこと羅列して、それっぽく書いてるだけだろ」
血液型診断と同じ仕組みといえば五島はムッとした。
「渚ちゃん、ほんっと可愛げがないわ。素直さも純粋さもないわ。夢と希望は生きる上で大切よ」
「無い方が変に振り回されなくていいんじゃないか? 夢と希望を持つから現状に絶望するんだろ」
「ドライ!!」
五島が怒っている。本気ではないがこれを放置していると本気に変わることがあるので注意が必要だ。
「なんか今後に役立ちそうなこと書いてある?」
「今後?」
話題を変えると五島はコロッと機嫌をなおした。単純。
「相性最悪なのはタイプ7の人だって」
「へぇー」
聞いてはみたもののやはり興味がないので気のない返事をする。五島は妙に居心地の悪そうな顔をした。
「たしか夷月先輩タイプ7だって」
「この診断めちゃくちゃ当たるな!?」
「急な掌返し!」
羽澤夷月は渚が心底苦手とする先輩である。全く信じていなかったが急に真実味をおびてきた。
「つまり、羽澤夷月と関係を切れば俺は幸せになれる!」
そう渚は拳を突き上げた。
いつになく元気な渚を横目に五島は診断結果を見つめる。
『タイプ5とタイプ7の人とは相性最悪。しかしお互いを無視できないので長い付き合いになるでしょう。諦めも肝心です』
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