高1Sトリオの雑談

「桜にさらわれて消えてしまいそうな人っているでしょ?」

「えっ?俺のこと?」

「どの辺が?」

「夷月は桜の下に生き埋めされても生還するでしょ」

「または桜の下で次の生け贄を待つ祟りになる」

「俺のことなんだと思ってるの」

「ただでは死ななそう」

「殺しても死ななそう」

「人間だから普通にしにますー」

「そうなの。それで、悠里は急になんでそんなこといいだしたの」

「ちょっと無視しないで」

「いや、てんさんって桜にさわれそうだなとおもって」

「惚気だと……」

「夷月が殺しても死ななそうな話に戻る?」

「惚気聞くの嫌なのは分かるけどさ、なぜその話にもどる? 別の話題いこう?」

「てんさんは桜にさわれて消えちゃいそうで、俺は心配で、心配で」

「うわー無理矢理話し続ける気だ」

「どうしても聞いてほしいならソラさんに聞いて貰いなさい」

「昨日三時間ほどかたりあった」

「すでにしゃべった後だった―」

「っていうか、三時間って、仲いいわね」

「仲は悪い」

「即答」

「で、なんだっけ、てん姉が桜にさらわれそうで心配と?」

「てんさんは可愛いしはかないし、可愛いからさらわれそう」

「可愛い二回いったぞ」

「やっぱただ惚気じゃない」

「違う、違う。惚気じゃなくて相談。来週お花見いくから、俺は心配で夜しか寝られない」

「寝てるじゃない」

「朝も日差しと共に起きてしまう」

「健康体」

「昼間もてんさんが心配すぎてすぐに会いにいってしまう」

「いつものことでしょ」

「というわけで、てんさんが桜にさらわれないように対策を考えよう」

「お花見行くのやめたら?」

「学校のこっててん姉といちゃついてれば?」

「そしたら彰さんと遊べない!」

「必死か」

「浮気だー二股だー」

「彰さんは俺の兄枠なので浮気じゃないです」

「いや、俺の兄だし」

「私の兄だし」

「……やめよう……戦争になる」

「そうだね……」

「でなに、お花見にはいきたいけど、てんさんが桜にさわれそうで心配ってことでオッケー?」

「オッケー」

「改めて聞いてもものすごぉーくくだらないし、どうでもいい」

「酷い。俺は真剣に悩んでるのに」

「8割ふざけてるだろ。半笑いだし」

「2割くらいは真面目に心配してる。てんさん可愛いし」

「本日3回目ー」

「そろそろ胸焼けするからこの話題やめましょ」

「じゃあ、お花見中、ずっと手つないでなよ」

「……それいいね!」

「えっ採用?」

「夷月、なんてことを……お花見の間ずっといちゃつくカップルを視界に収める苦行が発生したじゃない……」

「正直、悪かったと思っている……でも、場所が変わっただけでいつものことじゃない? とも思っている」

「たしかに」

「あと、どうせソラ姉がキレて、ずっと手つないでるとか無理」

「それもそうね」

「お花見楽しみだなー」

「私は面倒くさくなってきたわ」

「悠里はどう転んでも楽しむんだと思うと腹たってきたから、俺も彰さんとずっと手つないでよ」

「それは許さない」

「絶対に阻止する」

「お前ら彰さん好きすぎだろ」

「夷月、お花見なんだから彰さんと手をつなぐとか言ってないで桜みなよ」

「お前にだけは言われたくないから!!」

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