自称ストーカー一歩手前の独白
俺は恩人を探している。
というと聞こえがいいが、実際はそんなきれいな話ではない。ぶっちゃけストーカー一歩手前という自覚はある。
俺が探しているのはモデルのRinna。名前は可愛いが男性モデル。等身の高さに抜群のスタイル。クールからキュートまで幅広くこなす表情の引き出しの多さ。もちろん服の着こなしだって抜群の、今人気のモデルである。
そんな彼を俺が知ったのは中学時代。地味で根暗だった俺は中学デビューと同時にヒエラルキーの最下層認定。パシられ、いじめられ、ろくに友達も出来ず、最終的に行き着いたのがひきこもり。そんな俺を心配して気が紛れるようにと母が買ってきてくれたのがいくつかの雑誌だった。引きこもっていても外の社会とのつながりを断たないでほしい。そんな願いがこもっていたのだと思う。
結果的に母の想いは息子を救った。なぜならそこで俺は運命の出会いを果たす。そうRinnaである。暇つぶしにパラパラとページをめくっていた俺は、彼のページを開いた瞬間に全身に電流が走った。
とにかくかっこいい。美しい。同じ男でこんなに美しい生き物がいるのだろうか。そう思ってしまうほど、指の先まで鮮麗された美しい生き物に俺はのめり込んだ。すぐさまスマホで検索、本屋に走り彼が出ている雑誌を買いあさり、彼の情報をとにかく集めに集めた。彼が着ている服がほしくてバイトをはじめ、彼がおすすめするスキンケア商品を買い集め、気づけば俺はダサ男からそこそこ見れる男までレベルアップしていたのである。
それを気に中学を転校。元の中学に戻ってもダサ男から普通。くらいにレベルアップしたところで、いじめられる未来は変わらない。それならば新天地で生きていこうと俺は二度目の中学デビューをはたした。そこでは普通に友達が出来、順風満帆といえる中学生活を送ったが、Rinnaを知る前の自分には戻れなかった。
最初は純粋にファンとして、自分を救ってくれた存在として応援していた。彼が出ている雑誌はすべて買ったし、宣伝している商品もなんとか集めた。しかしながらRinnaはその人気とは裏腹にメディアの露出が極端に少なかった。理由は彼がミステリアスで売っていること。もう一つはまだ学生であるため、卒業まで仕事の数を絞っていることにあった。
大人っぽい彼が同じ学生であることに衝撃を受けたのは一瞬で、じゃあ卒業まで俺は少ない情報をかき集めるしかないのか。そう考えると絶望した。俺はもっと彼の事を知りたかったのである。
そこで俺は引きこもっていた時に学んだ技術を元に、彼の情報を徹底的に集め始めた。とりあえずどこの学校に通っているかを探し始めた。プライバシーという言葉があっても人の口に戸はつけられない。どこかに情報があるはずだと探し続けたが、なぜか彼がどこに通っているかの情報はまるで出てこない。芸能活動を押している学校に通っているだろう。という憶測には同意見であったが、その学校のどこにいるかが全くわからないのだ。
これはおかしい。そう思った俺は、他のモデルの出身校や、学生モデルがどこに在学しているかも調べ始めた。そうしてデータを集めていくうちに俺は気づいたのである。誰もが知っている有名校であり、数多くの優秀な在学生、卒業生を輩出しているのにもかかわらず情報の一切を遮断している学校が一カ所だけ存在することに。
黒天学園。その存在を知った瞬間、俺に再び電流走る。
おそらくRinnaはここにいる。間違いない。そう確信した俺は、今度は高校デビューを目指して猛勉強を始めた。
すべてはRinnaにあって私生活をのぞき見るために!
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