第13話一八二三年、火縄銃の購入と生産

 俺は鉄砲と大砲を大量購入した。

 本来なら、用途に応じて鉄砲鍛冶に作らせるのだが、そんな時間が惜しい。

 兎に角、一分一秒でも早く、北前船と蝦夷樺太を武装しなければいけない。

 それ以前に、全藩士に射撃訓練をさせなければいけない。

 本来なら、相手が完全武装していても殺傷能力のある、士筒だけを購入すべきだ。

 いや、ライフリングされた、この時代には存在しないはずの、俺の知識で作れる最高の銃器を生産すべきだ。


 だが、それには製造時間と莫大な費用がかかる。

 いや、それ以前に、俺には知識があっても技術がない。

 この時代の鉄砲鍛冶に作ってもらうしかないし、太平の世で停滞した鉄砲鍛冶の技術を向上させなければならない。

 だから鉄砲鍛冶に依頼するのは、蘭国の技術者と俺の技術を融合させて図面化した、ドライゼ銃にした。


 だが、鉄砲鍛冶が強力な鉄砲を量産できるようになるまで、藩士に砲術訓練をさせない訳にはいかない。

 だから、藩士の訓練用と急場を凌ぐ鉄砲は、他藩と民間から購入する事にした。

 勝手向きが悪化して貧困に喘ぐ諸藩なら、喜んで火縄銃を売ってくれる。

 百姓も、田畑を荒らす獣を脅かすための、小口径火縄銃は所有を許可されていた。

 マタギと呼ばれる猟師達は、熊や猪を狩るための大口径火縄銃を持っていた。

 それらを大量購入したのだ。


 値段はまちまちだった。

 口径や製造年月、百姓用か武士用かで、ぜんぜん値段が違っていた。

 当然だが、汚れの目立つ火縄銃と奇麗な火縄銃では、大きく値段が違う。

 藩に内緒や、半ば藩の黙認で、大鉄砲や分砲、半筒や大筒まで売る者が現れた。


 購入金額は、火縄銃に限っては金一分から金二両一分だった。

 金一分の火縄銃は汚れた古い小筒で、二両一分の火縄銃は比較的奇麗な士筒だ。

 大鉄砲以上の大砲の値段は秘密である。

 日本中から搔き集めた火縄銃は五千丁で、購入費用は八千両弱だった。

 多分これから、各藩が士筒以上の大鉄砲を領内で製造させ、俺に売るだろう。

 まあ、そうなるように仕向けたのだが。


「火縄銃の口径」

名称 :弾丸重量:口径ミリ

小筒 :二匁半 :一一・七九

中筒 :六匁  :一五・七九

士筒 :十三匁 :二〇・四八

大鉄砲:二十匁 :二三・五八

   :三十匁 :二六・九九

   :五十匁 :三三・〇四

馬上筒:騎兵銃

短筒 :拳銃

狭間筒:通常の火縄銃より弾丸重量のわりに銃身が長いもの


「和製鉄砲と大筒の口径と砲弾重量」

大筒:一貫(三・七五キログラム)の砲弾を発射する口径八四・二ミリ

半筒:半貫(一・八七五キログラム)の砲弾を発射する口径

分砲:二五疋(九三七・五グラム)砲弾を発射する口径

大鉄砲:二〇匁(七五グラム)口径二三・五八ミリ

   :三〇匁(一一二・五グラム)口径二六・九九ミリ

   :五〇匁(一八七・五グラム)口径三三・〇四ミリ

   :一〇〇匁(三七五グラム)口径三九・五ミリ


ダブルカノン :六八ポンド砲

カノン    :四二ポンド砲

デミカノン  :三二ポンド砲

カルバリン  :一八ポンド砲

デミカルバリン: 九ポンド砲

小口径法   : 六ポンド砲


「銃器」

火縄銃      :

銃剣式マスケット銃:

ゲベール銃    :

ベイカー銃    :

ブランズウィック銃:

ミニエー銃    :

ドライゼ銃    :

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