(8)
「メーターは有るけど機械式……だとすると、これが作られたのは、液晶表示の実用化以前って事ですか……」
佐藤正一は、そう言った。
「でも、これが作られたのが、もし……矢野さんの推測通り『平行世界』だとすると、その『平行世界』は我々の世界と似た歴史を辿った保証は有るんでしょうか?」
「少なくとも……メーターに使われているのはアラビア数字ですから……近代科学が生まれた辺りまでは似た歴史だったんじゃないかと……。ん〜、でも、液晶を使った技術は実用化されてないけど、他の点では進んでいる世界は……有り得ますかねぇ……?」
一同が『立入禁止』区域のほぼ中心に有る建物の中で見付けたのは……「機械部品を出鱈目に組合せて作った何か」だった。
「門」を模した「現代美術」だと言えば、美術館に飾られていても違和感は無い。
ただし、その「門」は中型トラック一台が余裕で通れるほどの大きさだったが……。
「門」に見えない事もない機械は、外に有る
「動かすな、とは言われたけど……そう簡単に動かせそうにないわね……」
矢野は、その門を見ながら、そう言った。
「あいつらは……我々に何をさせたいんですかね?」
「考えられるのは2つかな?」
「と言うと……」
「1つは……偉そうな事を言ってるあいつらも、我々と同じ程度にしか、今起きてる事について知らない。もし、そうなら、我々もあいつらが推測してる『何か』を推測出来るだけの情報は持ってる可能性は有る……けど、その情報から『何か』を推測する『
「なるほど……」
「もう1つは……あいつらの倫理観とか何かの理由で……あくまで『お節介な部外者』の立場で有り続けたいのかも……」
「えっ?」
「この世界に、我々の想像を超える事が起きてるのなら……どうやら、この世界の者じゃないらしいあいつらは……それにどう対応するかは……この世界の人間に決めさせようとしてるのかも知れないわね」
「でも……なら……我々じゃ力不足なんじゃ……?」
「メンバーを増やすしか無いわね……。もっと色んな分野の人間を、どんどんスカウトするしか……」
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