ぼくは王さま

 ぼくは王さま。この国でいちばんえらい人。だからぼくは、なにをしたってゆるされる。

 たとえばね、あそこにいるウサギさん。ぼくはあのウサギさんが好きだから、あのウサギさんをぼくのへやに閉じこめて、ずーっとずーっと眺めていたい。

 きっとね、ウサギさんを閉じこめて、ずーっとずーっと眺めていても、ぼくをおこる人なんてだれもいない。

 たとえばね、あそこにいるキツネさん。ぼくはあのキツネさんが嫌いだから、あのキツネさんをしばりつけて、木のぼうでたたきのめしたい。

 きっとね、キツネさんをしばりつけて、木のぼうでたたきのめしても、ぼくをおこる人なんてだれもいない。

 だけどね、知ってるんだ。

 ウサギさんを閉じこめて、ずーっとずーっと眺めていたって、ぼくの好きなウサギさんはぼくのことを好きになってくれないって。

 キツネさんをしばりつけて、木のぼうでたたきのめしたって、ぼくの好きなウサギさんがキツネさんを嫌いになることはないって。

 ぼくは王さま。この国でいちばんえらい人。

 きょうはウサギさんとキツネさんのけっこんしき。

 みんな幸せそうなかおをしているから、ぼくも幸せそうなかおをするんだ。

 ね?えらいでしょ?

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