ニューメキシコ州・ロズウェルver.

♯1 手に入れたい!

ある日、部屋でラウェル・デ・マラニョンは思った。「よし! カムシンを何としてでも手に入れよう!」そう、その言葉に力強く言い放ち、ガッツポーズをとる。




          


          ◇◇◇






朝、8時




行ってきマース!


と、ラウェルが言う。




行ってらっしゃい!


そう、母親が答える。




ラウェルはいつもより元気よく朝、学校に出掛けた。



ラウェルはフングス高校2年D組だ。部活には入っていない。入る余裕なんかない。なぜならカムシンを買うために、今からお金をためないといけないからだ。


ラウェルは学校の校門前である女性と鉢合わせた。高校から知り合った女子高生だ。オリヴァだ。いつもひまわりのように明るく、元気な女の子。髪型は黒色でボブよりのショートヘアで前髪をななめに流している。部活は入っていない。話を聞くとアルティメット部に入ろうとしたが、なぜか思いとどまり入部を辞めた。


ラウェルの好みの女の子なのだが、オリヴァは気分屋で少しサバサバしているので、たまにラウェルはオリヴァの言動にがオドオドすることがある。


ラウェルは背は平均より低め167センチ、髪型は黒のあの丸みのあるシルエットが特徴のマッシュショートという髪型をしている。


ほぼツッコミ担当になることが多い。


思っていることが鏡を映すようにすぐ態度が出る性格をしている。




ラウェル!! おはよう!!




うわっ!! びっくりした! なんだ~ オリヴァか。




あれ? なに嫌そうな顔をしているね?




嫌に決まってんだろ、コノヤロウ。朝からうるせえな。




なんでぇ? かわいいね! 照れちゃって!




すげえ、ポジティブよねお前。



ありがとう。



まあ、それより早く教室行こう! 遅れるよ!




だれのせいじゃあ!




はははは!




そういうと、二人は2年D組の教室に向かう。




教室に向かう途中に少し話した。




そういえば、アルティメットやらないの?




アルティメット? 高校ではやらないよ。



なんで?


特に意味はない。


それじゃあ会話が終わるだろ。



あ、そう? なんていってほしい? もしかして、他人の不幸を、なんて考えてる? それとも...... 別の話かな?




ばっ! バカやろう! 調子はどうだ!? って話だよ!




あ~、なんだ、そう。もう少しボケてよ。つまんない。




ひどいな~、おれボケるの苦手だし。




あっそう、じゃあツッコんでよ。




いま、ツッコミいれるところあったか!? あ! あったな! ツッコミいれるところないのにツッコんでよ! はおかしいよなあ!?



はははは!! やっぱりラウェルは面白いね!




ふざけるな。




ははは!!




いつまで笑ってんねん!




おっと、ついたな、早く席につけよ。




はいはい。




ラウェルとオリヴァは各々、自分の席についた。オリヴァとは同じクラスだ。実は1年の時も同じクラスだった。


3学期が始まるクラス分けで、ラウェルの嫌な予感が当たった。「まさか、来年も同じクラスじゃないよな? 勘弁してくれよ、そうなったらおぞましくて、おちおち寝れねえよ」



そんなことを思ってた。




ラウェルがため息つくと同時に授業が始まった。




────── 昼休み。



あっという間に昼ごはん。ラウェルは席を立ち上がる。

すると、すかさずあの元気なお嬢様が話しかけてきた。




ねえねえ! ラウェル!




おい、なんだよ。いまから飯なんだから静かにしろよ。




あはは! 相変わらずだね!?




話しかけてきたのは、オリヴァだった。




なにが相変わらずだね!? だよ! 朝から一緒だったろうが! あたかも夏休みがあけて学校始まって久しぶりに会った時みたいな雰囲気を出すな!




それは、そうとおばさんにきいたけど、バイト始めたんだって?




あのばばあ! 話やがったな! ああ、そうだよ! はじめたよ! てか俺の話スルーかよ!




大丈夫なのぉぉ?! ちゃんとできてるのぉぉ?




あと、ババア言うな。




はらたつな......その言い方! ていうか、疑問に思ったんだが、なぜそんなにうちのお母さんと仲良いんだよ!?




まあ、色々あってさ。




あ、そう。でもお母さんの前で「おばさん」なんていうなよ。




...... い、言える訳ないじゃん。




ですよね...... 。




(オリヴァでも怖いものがあるんだな。よし、ネタにしよ、今後の脅しに)ふふふふ。




※ このラウェルという男はカスである。




ラウェルのお母さんは現在40歳。すごく美人だ。髪は少し茶髪入り。長めのロングでたまにお団子のような髪型にするときがある。背は低め。


「おばさん」と呼ばれるのがすきではないため息子や息子の友達などに名前で呼ばせている。


結構単純なところがある。職業は診療放射線技師。頭はめちゃくちゃいい。




ところでさ...... 今日、家行っていい?




は? なんで? だるい。てか、なんで家に来たいんだよ。




いや~だって、仲良いし。あともうすぐ、テストだし! 教えて貰おうかと。それに私、診療放射線技師に憧れててさ!




へ~、そうなんだ。でもごめんな、今日バイトだから。




え~、今日もなの? お母さんから聴いたけど、バイト始めてもう3カ月だってね。もう週5で働いてるみたいだけど? やりすぎじゃない?




そうか? 週5だぜ?




でもなんでそんなにお金ほしいの?




あれ? 言ってなかったっけ? おれカムシンがほしいんだ。




は? カメムシ? きも...... 。



いやいや! カメムシなんかいらないわ! カムシンだよ! カムシン!




カムシンってなんだっけ?




カムシンは、マセラティ・カムシンっていう車だよ。その車はな...... 。



と、説明をする間に長くなると察したオリヴァは止めにはいる。




はいはい......はやく食べよ。



その後、昼ごはんたべて、授業が始まり、あっという間に放課後。




ラウェルはさっそうとバイトに向かって行った。




笑顔で走って向かうラウェルを、オリヴァは教室のガラス越しから観ていた。




1年の時はよく一緒に帰ったり、放課後ラウェルと遊んだり、家に遊びに行ったりしていた。



今年始まって以来一度も一緒に帰ってない。




オリヴァはそんなラウェルに対して、少し寂しげな顔を見せていた。

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ハムシンを目指して Kohr.435円 @katumata

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