第809話 屋根から

「やはり、今年もか」


深夜になると、ある家の屋根から白い左腕がいつの間にか生えて揺れている


「毎年、お盆になると必ず生えてくるな……まあ、害は無いんだが」


かれこれ10年はずっと確認していた


だが、今年はいつもと違った


過去10年は空き家だったが、今年は引っ越してきた人が居る


「ん……?」


いつもはただ揺れているだけだった左腕が、今年はまるでおいでと招いている様に見える


「何事も無ければいいが」


自分に何かある前に、その家から立ち去った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る