第693話 不審者が

こんにちは、山内花林です


最近、小学校の周りで不審者が出没するから気を付けるようにと、先生がホームルームで注意しました


どう注意すればいいのか聞いた子が居て、先生はそれに対し


「不審者を見かけたら、近くの家に助けを求めるか、大声で誰かを呼ぶのよ」


と言っていました。どう不審者を見分ければいいのか分かりませんが、とりあえず身の危険を感じたら助けを呼ぶという事で納得しました


それからしばらくして、友達が被害にあったようです


「急にね、急にスマホを向けて写真を撮ってくるの! 逃げても撮ってくる! 先生に言ったけど、どこの誰かは分からないから……って何もしてくれないの」


一応、警察が見回ってくれるそうですが、危害が加えられていないので本気で対処してくれる様子はありません。実際、下校の時にパトカーを見ることはほとんどありませんでした


それでも、しばらくして誰も被害が無くなったので、盗撮犯は居なくなったのだろうと言う事で、警察の見回りも終了したようです


しかし、それを見越していたのか、私が帰る途中で怪しい人がついてきている感じがしました


後ろを振り向くと、サングラスをかけて帽子をかぶり、マスクをした年齢の分からない男の人がついてきていました


そして、スマホを私に向けてシャッターを切る音がしました。私は、身の危険を感じていなかったので叫んだり、逃げたりしませんでしたが、その男性は私が逃げないことをいい事に何度かシャッターを切っていました


「さて、写りの悪いやつは消すか」


男性は、そう言って今撮ったばかりの写真を確認したようです


「ひっ、なんだこりゃあ!」


男性はそう言うと、スマホを投げ捨てて逃げていきました。私はそれを拾って画面を見て、納得しました


スマホの画面いっぱいに、私の周りにいる幽霊が張り付いていたからです

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