第674話 硬貨
最近はお金に触れる機会が減ったように思う
クレジット決済やアプリによる決済、インターネットでの購入なんかが主流だからだ
でだ、今俺の足元に10円が落ちている。それも、今では珍しい「ギザ十」だ
周りには誰も居ないので、近くに居る誰かが落としたという事も無い
けれども、表面は泥なんかで汚れてないから落としたばかりなのだろう
拾い上げてみると、手にネチョリとしたものが付いた
「げっ」
10円玉の裏側には、血が付いていた
今更捨てるわけにも行かず、とりあえず近くの公園へ行って水道で洗った。そして、そのままそこに放置してきたのだが……
目をつぶると、車が突っ込んでくる映像が見えた
「うわぁ!」
びっくりして目を開けると、そこには何も無かった。心臓がバクバク音をたてているが、もう一度気を落ち着けて目をつぶる
やはり、車が突っ込んでくる映像が見えた
「今の場所は……」
それと同時に近くの風景から、10円玉を拾った近くの交差点だと分かった
10円玉を回収し、その交差点へ向かうと、そこには空き缶に花が挿してあり、その横にはジュースやお菓子が置いてあった
3歳児が、10円玉を握りしめて横断歩道を渡っていた時に、車に轢かれたそうだ
俺が10円玉を拾ったのは、そこから100mほど離れた場所だった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます